合同会社を自分で設立したい方へ

合同会社を自分で設立する方法|手続き・必要書類・費用を順番に解説

合同会社は、専門家へ依頼せず、自分で設立手続きを進めることもできます。株式会社と異なり、公証人による定款認証は必要ありません。ただし、定款の作成、出資の履行、設立登記などは正しく行う必要があります。

このページでは、個人が社員となって合同会社を設立する一般的なケースを想定し、会社の基本事項を決める段階から、法務局へ設立登記を申請するまでの流れを解説します。

合同会社を自分で設立するときに確認する基本事項、社員、定款、出資金、設立登記、設立後手続き

合同会社を自分で設立する際の要点

自分で設立できるか
必要な情報と書類を準備できれば、代表社員本人が設立登記を申請できます。
定款認証
合同会社の定款には、公証人による認証が必要ありません。
登録免許税
資本金の額の0.7%で計算し、その金額が6万円未満の場合は6万円です。
特に注意したいこと
社員、業務執行社員、代表社員の違いを理解し、定款と登記書類の内容を一致させます。

1. 合同会社は自分で設立できる?

合同会社の設立に、専門家への依頼は必須ではありません。定款や登記申請書などを正しく作成できれば、会社を代表する社員が自分で設立登記を申請できます。

合同会社は、株式会社と比べて設立時の法定費用を抑えやすく、公証人による定款認証も必要ありません。役員構成や利益配分について、定款で柔軟に定められる点も特徴です。

一方で、社員が複数いる場合や、出資割合と異なる利益配分を予定している場合には、設立後のトラブルを防ぐために定款の内容を慎重に検討する必要があります。

合同会社の「社員」とは

一般的な従業員という意味ではありません。合同会社へ出資し、会社の構成員となる人または法人を指します。

2. 合同会社の特徴

合同会社の定款認証、設立費用、経営、利益配分の特徴と自分で設立しやすい条件

合同会社の主なメリット

  • 株式会社より設立時の法定費用を抑えやすい
  • 定款について公証人の認証が不要
  • 経営上の意思決定を比較的迅速に行いやすい
  • 利益配分について定款で柔軟に定められる
  • 役員の任期に伴う定期的な重任登記がない

確認しておきたい点

  • 株式会社ほど組織形態が知られていない場合がある
  • 株式による資金調達はできない
  • 社員同士の関係が経営に影響しやすい
  • 出資持分の譲渡には制限がある
  • 重要事項を定款で適切に定める必要がある

合同会社と株式会社のどちらが適しているかは、設立費用だけでは決められません。将来の資金調達、取引先からの見え方、共同経営者の有無、経営権の設計なども考慮しましょう。

会社形態の違いについては、 株式会社と合同会社の違いも確認してください。

3. 合同会社を自分で設立する流れ

基本事項、定款、出資金払込、登記書類、設立登記、設立後届出まで合同会社を自分で設立する流れ
  1. STEP 1

    会社の基本事項を決める

    商号、事業目的、本店所在地、社員、資本金、事業年度などを決めます。

  2. STEP 2

    定款を作成する

    決定した基本事項を基に、会社の基本規則となる定款を作成します。

  3. STEP 3

    出資金を払い込む

    定款作成後、登記申請までに社員が出資を履行します。

  4. STEP 4

    登記書類を作成する

    設立登記申請書や払込みを証する書面などを準備します。

  5. STEP 5

    設立登記を申請する

    本店所在地を管轄する法務局へ、書面またはオンラインで申請します。

  6. STEP 6

    設立後の届出を行う

    税務署、自治体、年金事務所などで必要な手続きを行います。

4. 会社の基本事項を決める

合同会社の商号、事業目的、本店所在地、資本金、業務執行社員、代表社員を決める際の確認事項

定款や登記書類を作成する前に、合同会社の基本事項を一覧にして整理します。

項目 主な確認内容
商号 会社名の前後いずれかに「合同会社」を入れます。
事業目的 現在行う事業と、将来行う可能性がある事業を整理します。
本店所在地 会社の本店を置く場所を決め、契約や利用規約も確認します。
社員 出資して会社の構成員になる人または法人を決めます。
業務執行社員 会社の業務を執行する社員を決めます。
代表社員 会社を代表する社員を決めます。
出資内容 各社員が出資する金額や財産の内容を決めます。
資本金 開業費用、運転資金、許認可要件などを踏まえて決めます。
事業年度 決算月と設立初年度の期間を決めます。
公告方法 官報への掲載など、会社の公告方法を検討します。

本店所在地で法人登記や事業ができるか確認しましょう。

賃貸住宅、レンタルオフィス、バーチャルオフィスなどでは、契約によって法人登記や事業利用が制限されている場合があります。

5. 社員・業務執行社員・代表社員の違い

合同会社では、社員、業務執行社員、代表社員という言葉が使われます。それぞれの役割を理解したうえで定款を作成しましょう。

区分 主な意味
社員 合同会社へ出資し、会社の構成員となる人または法人です。
業務執行社員 会社の事業運営や意思決定に関する業務を執行する社員です。
代表社員 合同会社を対外的に代表し、契約や登記申請などを行う社員です。

定款に別段の定めがなければ、原則として社員が業務を執行し、業務執行社員は会社を代表します。複数の社員がいる場合は、誰が業務を執行し、誰が会社を代表するのかを明確にすることが重要です。

1人だけで合同会社を設立する場合は、同じ人が社員、業務執行社員、代表社員を兼ねることができます。

6. 定款を作成する

合同会社の定款の必須事項、社員情報、任意事項、紙電子の違い、出資金払込、証明資料

合同会社を設立するには、社員になろうとする人全員で定款を作成します。合同会社の定款には、公証人による認証は必要ありません。

定款に必ず記載する事項

  • 事業目的
  • 商号
  • 本店所在地
  • 社員の氏名または名称と住所
  • 社員全員を有限責任社員とする旨
  • 社員の出資の目的と価額または評価の基準

必要に応じて定款で決める事項

  • 業務を執行する社員
  • 代表社員
  • 社員が複数いる場合の意思決定方法
  • 利益と損失の配分方法
  • 持分を譲渡する場合の条件
  • 社員が加入・退社する場合の取扱い
  • 事業年度
  • 公告方法

紙定款

  • 紙で定款を作成する
  • 原則として4万円の収入印紙が必要
  • 社員全員が署名または記名押印する

電子定款

  • 電子データとして定款を作成する
  • 定款に対する4万円の印紙税は不要
  • 社員による電子署名などの環境が必要

電子定款は印紙税を抑えられますが、自分で作成する場合は電子証明書、電子署名、対応ソフトなどの準備が必要です。

7. 出資金を払い込む

社員になろうとする人は、定款を作成した後、設立登記をするまでに出資を履行します。金銭を出資する場合は、その全額を払い込む必要があります。

  1. 払込みに使用する口座を確認する
  2. 定款に記載した出資額を払い込む
  3. 入金日、金額、口座名義を確認できる記録を保存する
  4. 払込みがあったことを証する書面を作成する

合同会社では、株式会社のように、必ず銀行などの払込取扱機関を通して出資金を払い込まなければならないという制約はありません。代表社員が作成した出資金領収書を使用できる場合もあります。

定款作成前の入金には注意が必要です。

出資の履行は定款作成後に行う必要があります。入金日と定款作成日の順序を確認してください。

不動産、自動車、機器など、現金以外の財産を出資する場合は、財産の給付や資本金の計上に関する書類が必要になる可能性があります。

8. 設立登記の必要書類を準備する

合同会社設立登記の申請書、定款、代表社員関係書類、払込証明、本人確認書類、申請方法

合同会社の構成や定款の内容によって、設立登記の必要書類は異なります。次は、代表社員が個人で、金銭のみを出資する一般的なケースの例です。

書類 内容
合同会社設立登記申請書 商号、本店、登記の事由、資本金、登録免許税などを記載します。
定款 社員になろうとする人全員で作成した定款を添付します。
代表社員などの決定書 代表社員、本店所在場所、資本金などを定款で確定していない場合に作成します。
代表社員の就任承諾書 定款の定めに基づく互選などで代表社員を決めた場合に必要になることがあります。
払込みを証する書面 出資金が払い込まれたことを証明します。
資本金の額の計上に関する証明書 現金以外の財産を出資する場合などに必要になることがあります。
登記すべき事項 登記記録へ登録する会社情報を指定された方法で提出します。
印鑑届書 会社代表者印を法務局へ届け出る場合に提出します。
委任状 代理人へ設立登記申請を依頼する場合に使用します。

代表社員が法人の場合は、その法人の登記事項証明書、職務執行者の選任を証する書面、就任承諾書などが必要になる場合があります。

9. 法務局へ設立登記を申請する

必要書類がそろったら、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。

書面申請

  • 管轄法務局の窓口へ書類を提出する
  • 管轄法務局へ書類を郵送する
  • 紙の定款や添付書類を準備する

オンライン申請

  • 登記・供託オンライン申請システムを利用する
  • 申請情報と添付書面情報を送信する
  • マイナンバーカードや電子署名環境などを準備する

合同会社は、本店所在地で設立登記をすることによって成立します。原則として、法務局が登記を完了した日ではなく、登記申請が受け付けられた日が会社の設立日になります。

希望する設立日が法務局の閉庁日に当たる場合、通常はその日に書面申請できません。設立日を重視する場合は、申請方法と受付日の扱いを事前に確認しましょう。

10. 合同会社の設立費用

合同会社設立の定款、登録免許税、証明書等の費用と税務社会保険など登記後の手続き

自分で手続きを行う場合でも、登録免許税や定款の印紙税などの費用がかかります。

費用 考え方
登録免許税 資本金の額の0.7%で計算し、その金額が6万円未満の場合は6万円です。
定款の印紙税 紙定款では原則4万円です。電子定款にはかかりません。
定款認証手数料 合同会社は公証人による定款認証が不要なため、認証手数料はかかりません。
その他の費用 印鑑作成、印鑑証明書、郵送、各種証明書の取得などに費用がかかる場合があります。

電子定款を利用すれば定款の印紙税を抑えられますが、自分で電子署名環境を準備するための費用や時間がかかる場合があります。

詳しくは、 会社設立にかかる費用も確認してください。

11. 設立登記完了後に行うこと

合同会社の設立登記が完了した後は、会社の状況に応じて税務、社会保険、許認可などの手続きを行います。

  • 登記事項証明書を取得する
  • 必要に応じて会社の印鑑証明書を取得する
  • 法人名義の銀行口座を申し込む
  • 税務署へ法人設立届出書などを提出する
  • 都道府県税事務所や市区町村へ必要な届出を行う
  • 役員報酬に相当する業務執行社員の報酬を検討する
  • 社会保険や労働保険の手続きを確認する
  • 事業に必要な許認可を申請する
  • 会計帳簿や請求書の管理方法を整える

詳しくは、 会社設立後に必要な手続きを確認してください。

12. 自分で設立するときによくある失敗

合同会社設立で確認する社員の意味、代表社員、定款と書類、出資金払込、利益退社、設立後届出の不備防止

社員を従業員の意味だと誤解する

合同会社における社員は、会社へ出資する構成員です。雇用契約によって働く一般的な従業員とは意味が異なります。

社員と代表社員の役割を明確にしていない

複数の社員がいる場合は、誰が業務を執行し、誰が会社を代表するのかを明確にしましょう。

定款と登記書類の内容が一致していない

商号、本店所在地、社員の氏名・住所、出資額などが書類ごとに異なると、法務局から補正を求められる可能性があります。

定款作成前に出資金を入金する

社員になろうとする人は、定款作成後から設立登記までの間に出資を履行する必要があります。日付の順序に注意してください。

利益配分や退社時の取扱いを決めていない

複数人で設立する場合は、利益配分、意思決定、持分譲渡、退社などについて将来のトラブルを想定して定款を作成することが重要です。

設立後の届出を忘れる

税務、社会保険、労働保険、許認可などには、それぞれ届出や期限があります。設立前から必要な手続きを一覧化しておきましょう。

13. 申請前のチェックリスト

  • 商号、事業目的、本店所在地が決まっている
  • 社員、業務執行社員、代表社員が決まっている
  • 各社員の出資内容と金額が決まっている
  • 利益配分や意思決定方法を検討している
  • 本店所在地で法人登記と事業利用ができる
  • 許認可に必要な事業目的を確認している
  • 定款に必要な事項が記載されている
  • 定款作成後に出資を履行している
  • 払込日と金額を確認できる記録がある
  • 書類間で商号、住所、氏名、金額が一致している
  • 管轄法務局と申請方法を確認している
  • 登録免許税の金額と納付方法を確認している
  • 設立後に必要な届出を一覧化している

設立準備全体については、 会社設立チェックリストも利用してください。

14. 専門家への相談を検討したいケース

  • 複数人で合同会社を設立する
  • 出資割合と異なる利益配分を定めたい
  • 社員の加入、退社、持分譲渡の条件を慎重に設計したい
  • 現金以外の財産を出資する
  • 代表社員に法人が就任する
  • 外国人や海外法人が社員になる
  • 設立と同時に許認可を申請する
  • 税務や社会保険も含めて設立準備を進めたい

相談する内容によって適切な専門家は異なります。詳しくは、 会社設立は誰に依頼する?を確認してください。

15. 合同会社の設立に関するよくある質問

合同会社は1人でも設立できますか?

1人で合同会社を設立することも可能です。1人が社員、業務執行社員、代表社員を兼ねられます。

合同会社の定款には公証人の認証が必要ですか?

合同会社の定款には、公証人による認証は必要ありません。ただし、定款自体は作成する必要があります。

合同会社の資本金はいくら必要ですか?

法律上は少額でも設立できますが、開業費用、運転資金、取引条件、許認可要件などを踏まえて決める必要があります。

家族や友人と合同会社を設立できますか?

複数人で設立することも可能です。ただし、意思決定、利益配分、退社、持分譲渡などについて、将来の状況も考えて定款へ定めておくことが重要です。

合同会社でも法人名義の銀行口座を作れますか?

合同会社も法人名義の銀行口座を申し込めます。ただし、口座開設は金融機関による審査があり、登記事項証明書、事業内容を確認できる資料などを求められる場合があります。

設立後に合同会社から株式会社へ変更できますか?

所定の組織変更手続きを行うことで、合同会社から株式会社へ変更することは可能です。組織変更計画の作成、公告、債権者保護手続き、登記などが必要になります。

設立登記はオンラインでも申請できますか?

合同会社の設立登記はオンラインでも申請できます。代表社員本人が申請する場合は、マイナンバーカード、電子署名、申請用ソフトなどの準備が必要です。

参考となる公的情報