設立前の準備から設立後の届出まで
会社設立の流れを8ステップで解説|費用・必要書類・設立後の手続き
会社設立は、会社形態や基本事項を決め、定款を作成し、資本金の払込みと登記書類の準備を行ったうえで、法務局へ設立登記を申請する流れで進めます。
登記後も、税務署、自治体、年金事務所などへの届出、許認可、法人口座、会計などの準備が必要です。このページでは、株式会社と合同会社の違いも踏まえて、会社設立前から設立後までの手順を順番に解説します。
会社設立の流れを先に確認
- STEP 1
- 株式会社か合同会社かを決める
- STEP 2
- 商号・事業目的・本店所在地などを決める
- STEP 3
- 定款を作成する
- STEP 4
- 株式会社は定款認証を受ける
- STEP 5
- 資本金を払い込む
- STEP 6
- 設立登記に必要な書類を作成する
- STEP 7
- 法務局へ設立登記を申請する
- STEP 8
- 設立後の届出と事業開始準備を行う
会社設立の手続きを始める前の準備
定款や登記申請書を作り始める前に、事業内容と設立後の計画を整理します。登記だけを先に進めると、許認可、法人口座、融資、事務所契約などで見直しが必要になる場合があります。
設立前に確認したい項目
- どのような事業を行うか
- 許認可が必要な事業か
- 株式会社と合同会社のどちらにするか
- 一人で設立するか、共同出資者がいるか
- 本店所在地として利用できる住所があるか
- 事業開始までに必要な資金はいくらか
- 設立希望日はいつか
- 設立後すぐに従業員を雇用するか
- 融資や法人口座の申し込みを予定しているか
株式会社と合同会社では設立の流れが異なる
株式会社と合同会社では、基本事項の決定、定款作成、出資、登記申請という大きな流れは共通しています。主な違いは、株式会社では公証人による定款認証が必要なことです。
| 手続き | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 基本事項の決定 | 必要 | 必要 |
| 定款作成 | 必要 | 必要 |
| 公証人による定款認証 | 必要 | 不要 |
| 資本金・出資金の払込み | 必要 | 必要 |
| 法務局への設立登記 | 必要 | 必要 |
| 登録免許税の最低額 | 15万円 | 6万円 |
合同会社は定款認証が不要で、登録免許税の最低額も株式会社より低いため、設立時の法定費用を抑えやすい会社形態です。ただし、費用だけでなく、経営方法、利益配分、将来の資金調達、取引先との関係なども踏まえて選びます。
STEP 1:株式会社か合同会社かを決める
最初に会社形態を決めます。一般的な選択肢は株式会社と合同会社ですが、それぞれ設立費用や会社運営の仕組みが異なります。
株式会社を検討しやすいケース
- 株式による資金調達を将来検討している
- 株主と経営者を分ける仕組みにしたい
- 複数の取引先や出資者との関係を重視する
- 株式会社という形態を対外的に重視する
合同会社を検討しやすいケース
- 設立時の法定費用を抑えたい
- 一人または少人数で経営する
- 出資者が経営にも参加する
- 利益配分や意思決定を柔軟に設計したい
STEP 2:会社の基本事項を決める
会社形態を決めたら、定款や登記申請書に記載する基本事項を決めます。
商号
会社名を決めます。株式会社または合同会社という文字を商号の前か後ろに入れます。
事業目的
現在行う事業と、将来行う可能性がある事業を整理します。許認可との関係にも注意します。
本店所在地
登記上の本店住所を決めます。賃貸借契約、管理規約、許認可、郵便物の受け取りも確認します。
資本金
設立費用と事業開始後の支払いを考え、必要な運転資金を見積もって決めます。
出資者
誰がいくら出資するかを決めます。複数人の場合は出資割合も重要です。
役員・代表者
株式会社では取締役など、合同会社では業務執行社員や代表社員を決めます。
事業年度
決算月を含む事業年度を決めます。繁忙期や資金繰りも考慮します。
公告方法
株式会社では、官報、日刊新聞紙、電子公告などから公告方法を検討します。
商号、事業目的、本店所在地などを後から変更すると、変更登記や追加費用が必要になる場合があります。設立後の事業計画も考慮して決めましょう。
STEP 3:定款を作成する
定款は、会社の基本的なルールを定める書類です。株式会社と合同会社のどちらでも作成します。
定款に必ず記載する主な事項
- 事業目的
- 商号
- 本店所在地
- 出資する財産の価額または最低額
- 発起人または社員に関する事項
会社形態により、必要な記載事項の名称や内容は異なります。株式会社では、発行可能株式総数、株式の譲渡制限、役員の任期なども検討します。
紙の定款と電子定款
| 項目 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 書面で作成 | 電子ファイルとして作成 |
| 収入印紙 | 原則4万円 | 不要 |
| 電子署名環境 | 不要 | 必要 |
STEP 4:株式会社は定款認証を受ける
株式会社を設立する場合は、公証人による定款認証を受けます。合同会社では定款認証は不要です。
定款認証は、原則として本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人が行います。必要書類、予約方法、本人確認方法、手数料などを利用する公証役場へ事前に確認します。
- 作成した定款
- 発起人の本人確認に必要な書類
- 印鑑証明書など指定された書類
- 実質的支配者となるべき者の申告に関する書類
- 定款認証手数料や謄本等に必要な費用
実際の必要書類は、電子定款・紙の定款の違いや、発起人が個人か法人かなどによって異なります。
STEP 5:資本金を払い込む
定款を作成した後、定めた資本金を発起人または社員の口座へ払い込みます。設立前は会社名義の銀行口座がないため、通常は個人名義の口座を使用します。
払込み時に確認すること
- 定款作成後に払い込む
- 誰がいくら払い込んだか確認できるようにする
- 払込日と金額が分かる記録を残す
- 定めた資本金額と払込額を一致させる
- 通帳の表紙・名義・入金記録など必要な箇所を保存する
払込み後は、通帳の写しや取引明細などを使用して、払込みがあったことを証する書面を作成します。
STEP 6:設立登記に必要な書類を作成する
会社形態、定款の内容、役員構成、現物出資の有無、申請方法などに合わせて設立登記書類を準備します。
株式会社の主な書類例
- 株式会社設立登記申請書
- 認証済みの定款
- 発起人の決定書または同意書
- 設立時取締役等の就任承諾書
- 本人確認証明書または印鑑証明書
- 払込みがあったことを証する書面
- 資本金の額の計上に関する証明書
- 印鑑届書
- 登録免許税納付用台紙
合同会社の主な書類例
- 合同会社設立登記申請書
- 定款
- 代表社員・本店所在地・資本金等の決定書
- 代表社員の就任承諾書
- 払込みがあったことを証する書面
- 印鑑届書
- 登録免許税納付用台紙
STEP 7:法務局へ設立登記を申請する
書類がそろったら、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。申請方法には、窓口、郵送、オンラインなどがあります。
| 申請方法 | 特徴 |
|---|---|
| 窓口申請 | 申請書と添付書類を管轄法務局へ持参します。 |
| 郵送申請 | 管轄法務局へ書類を郵送します。到着日や書類返却方法も確認します。 |
| オンライン申請 | 申請用ソフトなどを利用して申請情報と添付情報を送信します。 |
会社の設立日は登記申請の受付日
会社は設立登記によって成立します。原則として、法務局が設立登記申請を受け付けた日が会社の設立日になります。登記の完了日ではありません。
設立日に希望がある場合は、その日に法務局で受け付けられる方法で申請します。法務局の閉庁日は設立日にできません。
申請後に補正連絡が来る場合がある
書類不足や記載誤りがあると、法務局から修正を求められる場合があります。申請後は、連絡を受けられる状態にしておきましょう。
法務局によると、登記内容などにより、完了まで数日から数週間かかる場合があります。管轄法務局の登記完了予定日も確認してください。
STEP 8:会社設立後の届出と事業開始準備を行う
登記が完了したら、登記事項証明書などを取得し、税務、社会保険、労働保険、許認可などの手続きを進めます。
| 手続き | 提出先・確認先 | 主な期限・注意点 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 税務署 | 原則として設立登記の日以後2か月以内 |
| 青色申告の承認申請書 | 税務署 | 設立日から3か月経過日と第1期終了日のうち、早い方の前日まで |
| 地方税関係の届出 | 都道府県・市区町村 | 所在地ごとに提出先と期限を確認 |
| 健康保険・厚生年金保険 | 年金事務所・事務センター | 加入要件を満たす場合、新規適用届は事実発生から5日以内 |
| 労働保険・雇用保険 | 労働基準監督署・ハローワーク | 従業員を雇用する場合に確認 |
| 許認可 | 業種ごとの行政機関 | 事業開始前に許可等が必要な場合がある |
事業開始に向けた主な準備
会社設立を自分で行うか専門家へ依頼するか
比較的シンプルな一人会社で、必要書類や申請方法を自分で確認できる場合は、自分で会社設立を進めることもできます。
一方、次のような場合は専門家への相談を検討しましょう。
- 複数人で出資・経営する
- 定款の内容や機関設計に不安がある
- 現物出資がある
- 外国人や海外法人が関係する
- 許認可が必要な事業を行う
- 設立時から税務・融資も相談したい
- 書類を作成する時間がない
- 決めた日までに確実に申請したい
自分で会社設立
手続きの流れを理解しながら進められ、専門家報酬を抑えられる可能性があります。
専門家へ依頼
登記、許認可、税務、社会保険など、相談内容に合った専門家を選ぶ必要があります。
会社設立の流れに関するよくある質問
会社設立にはどのくらいの日数がかかりますか?
会社の構成、定款作成、定款認証、必要書類の準備、法務局の処理状況などによって異なります。許認可や融資が必要な場合は、登記後も準備期間が必要です。
会社の設立日はいつになりますか?
原則として、法務局が設立登記申請を受け付けた日です。登記完了日ではありません。
土日や祝日を会社の設立日にできますか?
法務局が設立登記申請を受け付けない日は、原則として設立日にできません。希望日がある場合は、法務局の開庁日を確認してください。
会社設立はオンラインだけで完了できますか?
条件を満たす株式会社・合同会社では、本人によるオンライン登記申請が可能です。電子証明書、電子署名、対応機器などが必要になる場合があります。
資本金はいつ払い込みますか?
通常は定款作成後に払い込みます。会社形態や設立方法によって扱いが異なる場合があるため、実際の申請条件を確認してください。
登記申請後すぐに法人口座を作れますか?
一般的には、登記完了後に登記事項証明書などを準備して申し込みます。必要書類や審査基準は金融機関によって異なり、口座開設が保証されるものではありません。
登記後に何もしなくても事業を始められますか?
税務・社会保険等の届出や、業種に応じた許認可が必要になる場合があります。許認可を取得する前に営業を開始できない事業もあるため、事前に確認してください。
設立準備の漏れを防ぐために
会社設立チェックリストで確認しましょう
設立前に決めること、定款・登記書類、設立後の届出と事業開始準備を順番に確認できます。
