自分で会社設立
自分で会社設立する方法|必要な手続き・費用・書類を順番に解説
株式会社や合同会社の設立手続きは、専門家へ依頼せず自分で行うこともできます。ただし、会社の基本事項、定款、登記書類、設立後の届出を正しく準備しなければなりません。このページでは、自分で会社を設立する手順と注意点を順番に解説します。
自分で会社設立する場合の要点
- 会社設立の手続きは、代表者本人が行うこともできます。
- 自分で手続きしても、登録免許税などの法定費用は必要です。
- 株式会社では、原則として公証人による定款認証が必要です。
- 合同会社は定款認証が不要なため、比較的自分で進めやすい形態です。
- 書面申請とオンライン申請では、必要な環境や書類の扱いが異なります。
- 現物出資や複雑な役員構成などがある場合は、専門家への相談も検討します。
会社設立は自分でできる?
会社設立は、必ず専門家へ依頼しなければならない手続きではありません。設立する会社の代表者本人が、定款や登記書類を作成し、法務局へ設立登記を申請することもできます。
法務局では、株式会社や合同会社の設立登記申請書、記載例、オンライン申請の操作手引書を公開しています。一般的な構成の会社であれば、これらの資料を確認しながら準備を進めることが可能です。
ただし、自分でできることと、自分で行うのが適していることは同じではありません。費用、必要な時間、手続きの難易度、間違えた場合の影響を比較して判断しましょう。
自分で手続きする場合
- 専門家への報酬を抑えやすい
- 会社設立の仕組みを理解できる
- 書類作成や確認に時間がかかる
- 不備があれば自分で補正に対応する
専門家へ依頼する場合
- 書類作成や申請の負担を減らせる
- 複雑な会社設計を相談できる
- 法定費用とは別に報酬が必要
- 依頼範囲と追加費用の確認が必要
自分で会社設立しやすいケース
次の条件に当てはまる場合は、比較的自分で会社設立を進めやすいと考えられます。
会社の構成が単純
代表者1人または少人数で、出資者と役員の関係が分かりやすい会社です。
金銭のみを出資する
不動産、自動車、機械などを出資する現物出資がない会社です。
一般的な機関設計
取締役会や監査役などを置かない、比較的単純な株式会社などです。
国内居住者だけで設立する
発起人、役員、社員が国内に居住し、国内の本人確認書類を用意できる場合です。
必要な時間を確保できる
公的な記載例を確認し、書類作成や法務局からの連絡へ対応できます。
許認可の要件を確認できる
事業に必要な許認可と、定款・資本金・事務所などの要件を確認できます。
専門家へ相談した方がよいケース
次のような場合は、書類が増えたり判断が複雑になったりするため、専門家への相談を検討してください。
- 現金以外の財産を出資する
- 発起人、株主、役員、社員が複数いる
- 取締役会や監査役などを設置する
- 種類株式を発行する
- 出資割合と議決権割合を詳しく設計したい
- 将来の投資受け入れや株式譲渡を予定している
- 会社間の共同事業として法人を設立する
- 発起人や役員に海外居住者がいる
- 外国法人が出資する
- 許認可が必要な事業を行う
- 会社設立日まで時間がない
- 定款や登記内容を自分で判断できない
登記申請の代理や登記書類の作成を依頼する場合は、司法書士へ相談します。税務、社会保険、許認可などは、それぞれの分野を扱う専門家へ確認してください。
書面申請とオンライン申請のどちらを選ぶ?
自分で会社設立を行う場合は、紙の書類を提出する方法と、オンラインで申請する方法があります。
書面申請
- 申請書と添付書類を紙で作成する
- 法務局の窓口または郵送で提出する
- 電子署名の環境がなくても利用できる
- 必要な押印や原本の添付を確認する
- 登録免許税は収入印紙などで納付する
オンライン申請
- 申請情報をインターネットで送信する
- マイナンバーカードなどの電子証明書を使用する
- 対応する端末や読み取り環境が必要
- 添付情報にも電子署名が必要になる場合がある
- 登録免許税を電子納付できる
オンライン申請では、申請用総合ソフトやWebブラウザで利用できる登記申請サービスなどを使用します。利用するサービスによって、対応手続きや必要環境が異なります。
書類をPDF化しただけでは、オンライン申請の添付情報として使用できない場合があります。誰の電子署名が必要かを、法務局の最新の操作手引書で確認してください。
自分で会社設立する前に準備するもの
申請方法や会社の構成によって異なりますが、一般的には次のものを準備します。
| 準備するもの | 主な用途 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 役員や社員の本人確認、各種申請 |
| 個人の実印 | 定款や登記書類への押印が必要な場合 |
| 個人の印鑑証明書 | 定款認証、印鑑届出など |
| 会社の代表者印 | 登記所へ会社印を提出する場合 |
| 資本金 | 会社設立時の出資金 |
| 払込用の個人口座 | 会社設立前の資本金払込み |
| パソコンとインターネット環境 | 書類作成、情報確認、オンライン申請 |
| マイナンバーカード | 本人がオンライン申請を行う場合 |
| 電子証明書の暗証番号 | 電子署名や本人確認 |
| 対応する読み取り環境 | マイナンバーカードの読み取り |
印鑑証明書には、発行後3か月以内などの条件が付く手続きがあります。取得する時期と必要通数を確認してください。
自分で会社設立する手順
-
STEP 1
株式会社か合同会社かを決める
設立費用、意思決定方法、役員任期、将来の資金調達などを比較して会社形態を選びます。
-
STEP 2
会社の基本事項を決める
商号、本店所在地、事業目的、資本金、出資者、役員、事業年度などを決めます。
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STEP 3
定款を作成する
会社の基本規則となる定款を作成します。紙定款と電子定款では、印紙税や作成方法が異なります。
-
STEP 4
株式会社は定款認証を受ける
株式会社の定款は、原則として公証人の認証を受けます。合同会社の定款は認証不要です。
-
STEP 5
資本金を払い込む
発起人などの個人口座へ資本金を払い込み、通帳や取引明細を保存します。
-
STEP 6
登記書類を作成する
設立登記申請書、決定書、就任承諾書、払込みを証する書面などを作成します。
-
STEP 7
法務局へ設立登記を申請する
本店所在地を管轄する法務局へ、書面またはオンラインで申請します。
-
STEP 8
登記完了後の手続きを行う
登記事項証明書の取得、銀行口座の開設、税務・社会保険などの届出を行います。
登記申請書が法務局に受け付けられた日が、原則として会社の設立日になります。希望日がある場合は法務局の開庁日を確認してください。
自分で設立するときの株式会社と合同会社の違い
| 比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 定款 | 必要 | 必要 |
| 定款認証 | 原則必要 | 不要 |
| 登録免許税 | 資本金の0.7%、最低15万円 | 資本金の0.7%、最低6万円 |
| 所有者 | 株主 | 社員 |
| 経営者 | 取締役 | 原則として業務執行社員 |
| 役員任期 | 任期がある | 原則として任期の定めなし |
| 利益配分 | 原則として株式数などに応じる | 定款で割合を定めることができる |
| 設立手続き | 合同会社より手順が多い | 比較的簡素 |
設立費用の安さだけで合同会社を選ぶのではなく、取引先からの見え方、将来の出資受け入れ、経営体制なども考慮して選びましょう。
自分で会社設立する場合の費用
自分で会社設立を行うと専門家報酬を抑えられますが、登録免許税などの法定費用は必要です。
| 主な費用 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 最低15万円 | 最低6万円 |
| 定款認証手数料 | 原則1万5,000円~5万円 | 不要 |
| 紙定款の印紙税 | 原則4万円 | 原則4万円 |
| 電子定款の印紙税 | 不要 | 不要 |
| 証明書など | 必要な通数などにより変動 | 必要な通数などにより変動 |
電子定款を自分で作成するために、電子証明書や対応機器、ソフトなどを新しく準備する場合は、その費用も含めて比較してください。
資本金は設立手続きで支払ってなくなる費用ではなく、設立後に会社の事業資金として使用します。
自分で会社設立するときの注意点
事業目的が不適切
内容が不明確な場合や、許認可に必要な事業目的がない場合があります。
本店所在地の問題
賃貸物件で法人登記や事業利用が認められていないことがあります。
書類の表記が不一致
商号、住所、氏名、資本金などが書類ごとに異なると補正の原因になります。
資本金の払込時期が不適切
定款作成・認証との順序によっては、払込みをやり直す可能性があります。
電子署名が不足
オンライン申請では、添付情報ごとに作成者の電子署名が必要になる場合があります。
設立後の届出を忘れる
税務、社会保険、労働保険などには、提出期限が定められているものがあります。
古いひな形をそのまま使わない
インターネット上で配布されている申請書や定款のひな形には、現在の制度や自分の会社に合わないものもあります。法務局などが公開している最新様式を基準に確認してください。
分からない項目を推測で埋めない
登記後に商号、本店、目的、役員などを変更する場合、変更登記や追加費用が必要になることがあります。判断できない項目は、申請前に管轄法務局や専門家へ確認しましょう。
会社設立後に必要な手続き
設立登記が完了しても、会社設立の手続きは終わりではありません。会社の状況に応じて、次の手続きを行います。
- 登記事項証明書の取得
- 会社の印鑑カード・印鑑証明書の取得
- 会社名義の銀行口座の申込み
- 税務署への法人設立届出書の提出
- 青色申告の承認申請書の提出
- 都道府県・市区町村への法人設立届
- 健康保険・厚生年金保険の手続き
- 従業員を雇用する場合の労働保険・雇用保険手続き
- 事業に必要な許認可の申請
- 会計・請求・契約・書類保管の準備
税務や社会保険の届出には期限があります。登記完了を待ってから調べ始めるのではなく、設立登記の準備と並行して提出先と必要書類を確認してください。
自分で会社設立する場合のよくある質問
知識がなくても自分で会社設立できますか?
一般的な会社構成であれば、法務局の記載例などを確認しながら進めることも可能です。ただし、定款や登記の内容は会社運営に影響するため、理解できない項目を推測で決めないことが重要です。
自分で設立すれば無料になりますか?
無料にはなりません。専門家報酬は抑えられますが、登録免許税、定款認証手数料、証明書の取得費用などは必要です。
スマートフォンだけで会社設立できますか?
利用するオンラインサービスや手続きによって異なります。書類作成、PDFの確認、電子署名などを考えると、パソコンが必要になる場合があります。利用予定のサービスの対応環境を確認してください。
マイナンバーカードがなくても設立できますか?
書面申請であれば、マイナンバーカードがなくても会社設立手続きを進められます。オンラインで本人申請する場合は、マイナンバーカードなどの電子証明書が必要になります。
株式会社と合同会社ではどちらが自分で設立しやすいですか?
合同会社は公証人による定款認証が不要なため、手続きと費用の面では比較的進めやすい会社形態です。ただし、会社形態は設立の簡単さだけで決めず、将来の運営方法や資金調達も考慮してください。
途中から専門家へ依頼できますか?
途中から依頼することも可能です。ただし、すでに作成した定款や書類の確認、修正作業などによって費用が変わることがあります。依頼前に、現在の進捗と作成済み書類を伝えてください。
