会社のお金を分けて管理する

法人口座の作り方|必要書類・審査・開設までの流れを解説

会社を設立したら、売上の受取りや経費の支払いに使用する法人名義の銀行口座を準備します。このページでは、銀行を選ぶポイント、一般的な必要書類、申込みから開設までの流れ、審査前に整えたい情報を解説します。

法人口座開設を申込み時期、銀行比較、必要書類、事業説明、審査対応、開設後設定の6段階に整理した図

法人口座開設の要点

申込み時期
会社の設立登記が完了し、必要書類がそろってから申し込みます。
銀行選び
手数料、利用できるサービス、店舗の有無などを比較します。
必要書類
登記事項証明書、代表者の本人確認書類、事業内容を示す資料などを準備します。
事業の説明
何を、誰に、どのように提供する会社なのか具体的に説明します。
注意点
必要書類や審査内容は金融機関ごとに異なり、開設が保証されるものではありません。

1. 法人口座を作る理由

会社と代表者個人は別の存在です。法人名義の口座を使用すると、会社のお金と個人のお金を分けて管理しやすくなります。

  • 会社と個人のお金を明確に分けられる
  • 売上の入金状況を確認しやすくなる
  • 経費や税金の支払いを管理しやすくなる
  • 会計ソフトと連携しやすくなる
  • 取引先へ法人名義の振込先を案内できる
  • 融資の申込みや経理資料の作成に利用できる

会社の売上を代表者個人の口座で受け取ると、個人の入出金と混在して経理処理が複雑になります。できるだけ早い段階で法人口座を準備しましょう。

2. 法人口座を申し込むタイミング

会社設立登記の完了から法人口座の申込みまでに行う6つの準備

法人口座は、原則として会社の設立登記が完了した後に申し込みます。金融機関によっては、履歴事項全部証明書や法人番号などの確認が必要です。

  • STEP 1

    会社設立登記を完了する

    法務局で会社の設立登記を行います。会社の設立日は、設立登記を申請した日です。

  • STEP 2

    登記事項証明書などを取得する

    履歴事項全部証明書や印鑑証明書など、申込先が指定する書類を取得します。

  • STEP 3

    事業内容を説明する資料をそろえる

    会社案内、Webサイト、契約書、請求書、許認可証などを準備します。

  • STEP 4

    法人口座を申し込む

    オンラインまたは店舗で申込みを行います。

  • 法人番号は13桁で、法人番号公表サイトでは、法人の商号、本店所在地、法人番号の基本3情報を確認できます。

    3. 法人口座を開設できる銀行の種類

    店舗型銀行、地域金融機関、ネット銀行の特徴と法人口座を選ぶ視点
    銀行の種類 主な特徴 確認したい点
    都市銀行 店舗やATMが多く、幅広い法人向けサービスを提供しています。 口座維持費、振込手数料、申込条件など
    地方銀行 特定の地域を中心に事業者を支援しています。 営業地域、店舗の場所、地域向けサービスなど
    信用金庫・信用組合 地域の中小企業や個人事業者との取引を重視しています。 営業地域、会員資格、相談体制など
    ネット銀行 オンラインで利用しやすく、振込手数料などを抑えられる場合があります。 現金の入出金方法、利用できるサービス、サポート方法など
    ゆうちょ銀行 全国の店舗やATMを利用できます。 法人向けサービス、振込、申込方法など

    同じ種類の銀行でも、サービス内容や手数料は異なります。「有名な銀行だから」という理由だけではなく、会社の利用目的に合わせて選びましょう。

    4. 法人口座を選ぶポイント

    振込手数料

    取引先、給与、外注費などの振込みが多い会社では、1件ごとの手数料が経費に影響します。

    口座利用料

    インターネットバンキングの月額料金や、口座に関する各種手数料を確認します。

    入出金方法

    現金を取り扱う場合は、利用できるATMや入金手数料も確認します。

    会計ソフトとの連携

    入出金明細を会計ソフトへ取り込めると、日常の記帳を効率化できます。

    融資や相談

    将来の融資や資金繰り相談を考える場合は、法人向けの相談体制も確認します。

    その他の機能

    法人カード、口座振替、海外送金、複数利用者の権限設定などを確認します。

    複数口座を使い分ける方法

    会社の規模や取引内容によっては、売上入金用、経費支払用、納税資金用など、複数の口座を使い分ける方法もあります。

    ただし、設立直後から口座を増やしすぎると管理が複雑になります。最初は主に使用する口座を決め、必要になった段階で追加を検討しましょう。

    5. 法人口座開設の必要書類

    法人口座開設で確認する登記情報、定款、本人確認、事業資料、所在地、許認可の書類

    必要書類は、金融機関、申込方法、会社形態、事業内容などによって異なります。一般的には、次のような書類を準備します。

    確認 主な書類 確認される内容
    □ 履歴事項全部証明書 商号、本店所在地、目的、役員、資本金など
    □ 法人の印鑑証明書 法務局へ届け出た会社実印など
    □ 定款 会社の目的や基本的なルール
    □ 代表者の本人確認書類 代表者の氏名、住所、生年月日など
    □ 手続者の本人確認書類 代表者以外が手続きする場合の本人確認
    □ 法人番号を確認できる資料 会社へ指定された13桁の法人番号
    □ 事業内容を確認できる資料 商品、サービス、取引先、営業実態など
    □ 所在地を確認できる資料 賃貸借契約書、建物の登記事項証明書など
    □ 許認可証・届出書 許認可が必要な事業を行えること

    発行日から一定期間以内の証明書を求められる場合があります。書類を取得する前に、申込先の最新の必要書類一覧を確認してください。

    6. 事業内容を説明する資料

    商品・サービス、顧客、販売方法、取引先、代表者の経験、口座用途から事業実態を説明する図

    設立直後の会社は取引実績が少ないため、何を行う会社なのか第三者が理解できる資料を準備することが大切です。

    事業内容の説明に使える主な資料

    • 会社案内や事業計画書
    • 会社のWebサイト
    • 商品・サービスの資料
    • 料金表や見積書
    • 取引先との契約書
    • 請求書、発注書、注文書、納品書
    • 店舗や事務所の写真
    • 許認可証や届出書
    • 代表者の職歴や事業経験を示す資料

    説明できるようにしたい内容

    項目 説明する内容
    商品・サービス 何を提供し、どのように収益を得るのか
    顧客 個人向けか法人向けか、どのような顧客を対象とするか
    販売方法 店舗、訪問、Webサイト、紹介など、どのように販売するか
    取引先 主な販売先、仕入先、外注先など
    代表者の経験 事業に関連する勤務経験、資格、技術など
    口座の用途 売上入金、仕入れ、給与、経費支払いなど

    定款に記載された目的を並べるだけでなく、現在実際に行っている事業や、設立後に開始する具体的な事業を説明できるようにします。

    7. 法人口座開設の流れ

    銀行の比較から申込み、書類提出、審査対応、開設後設定までの6ステップ
  • STEP 1

    利用する銀行を比較する

    手数料、サービス、店舗、会計ソフト連携などを比較します。

  • STEP 2

    申込条件と必要書類を確認する

    金融機関の公式サイトや店舗で、最新情報を確認します。

  • STEP 3

    申込みを行う

    オンラインまたは店舗で、会社情報や代表者情報などを入力します。

  • STEP 4

    必要書類を提出する

    指定された方法で、証明書や事業資料を提出します。

  • STEP 5

    確認・審査へ対応する

    追加書類の提出や、事業内容についての説明を求められる場合があります。

  • STEP 6

    口座開設後の設定を行う

    インターネットバンキングや振込権限などを設定します。

  • 申込みから口座開設までの期間は、金融機関や申込内容、書類の状況などによって異なります。取引開始日から逆算して、余裕を持って申し込みましょう。

    8. 申込み前に確認したい項目

    確認 項目 確認内容
    □ 会社情報 商号、本店所在地、代表者名などが登記情報と一致しているか
    □ 法人番号 法人番号公表サイトで会社情報を確認できるか
    □ 事業目的 実際の事業が定款や登記の目的に含まれているか
    □ 所在地 会社がその場所を使用できる資料があるか
    □ 連絡先 会社の電話番号やメールアドレスを確認できるか
    □ 事業資料 第三者が見ても事業内容を理解できる資料があるか
    □ 許認可 必要な許認可を取得または申請しているか
    □ 提出書類 有効期限、記載内容、画像の見やすさに問題がないか

    9. 本店所在地についての注意点

    法人口座開設に向けて所在地、会社サイト、事業情報、開設前支出、立替精算を整える図

    金融機関によっては、本店所在地の使用状況や事業実態を確認するために、賃貸借契約書などの提出を求める場合があります。

    確認しておきたいこと

    • 賃貸借契約上、法人利用や事業利用が認められているか
    • 登記上の所在地で郵便物を受け取れるか
    • 申込書と登記情報の住所表記が一致しているか
    • 会社が所在地を利用していることを説明できるか
    • 許認可に必要な事務所要件を満たしているか

    バーチャルオフィスの場合

    バーチャルオフィスを本店所在地としていることだけで、必ず口座開設できないとは限りません。ただし、事業実態や連絡方法、所在地の利用権限などについて、追加資料や詳しい説明を求められる可能性があります。

    本店所在地の決め方については、 本店所在地・オフィスの決め方も確認してください。

    10. 会社Webサイトで事業内容を示す

    会社のWebサイトは、事業内容や連絡先を第三者へ説明する資料のひとつになります。ただし、Webサイトがあれば必ず口座を開設できるわけではありません。

    掲載しておきたい主な情報

    • 正式な会社名
    • 本店所在地
    • 代表者名
    • 提供する商品・サービス
    • 対象となる顧客
    • 問い合わせ方法
    • 必要に応じて許認可情報
    • プライバシーポリシーなど

    「さまざまな事業を行います」などの抽象的な説明だけでなく、どのような顧客へ何を提供する会社なのか、初めて見る人にも分かるように掲載しましょう。

    会社サイトの準備については、 会社ホームページの作り方でも確認できます。

    11. 法人口座開設前に発生した支払い

    法人口座が開設される前に、登記事項証明書の取得費用、備品購入費、サービス利用料などが発生する場合があります。

    代表者が会社の費用を個人のお金で支払った場合は、領収書や振込記録を保存し、会社が代表者から借りたお金として処理する方法などがあります。

    • 領収書や請求書を保存する
    • 支払日と支払先を記録する
    • 支出の内容と目的を記録する
    • 支払った人を明確にする
    • 法人口座開設後の精算内容を記録する

    個人口座を事業に使用できるかは、利用している金融機関の規約も確認してください。個人と会社のお金を長期間混在させないことが大切です。

    12. 法人口座開設後に行うこと

    法人口座開設後の振込先変更、支払設定、会計連携、権限設定、再確認、安全管理
    確認 設定・変更 主な内容
    □ 売上の振込先 取引先や請求書の振込先を法人口座へ変更します。
    □ 経費の支払口座 家賃、通信費、仕入れなどの引落口座を設定します。
    □ 税金・社会保険料 必要に応じて口座振替や電子納付の設定を確認します。
    □ 会計ソフト 口座連携を設定し、入出金明細を取り込みます。
    □ インターネットバンキング 利用者、振込上限、承認権限などを設定します。
    □ セキュリティ 認証方法、通知、利用端末などを確認します。

    会社のお金の管理については、 会社設立後の経理でやることも確認してください。

    13. 法人口座を開設できなかった場合

    金融機関は口座開設の審査基準をすべて公表しているわけではなく、開設できなかった詳しい理由が示されない場合もあります。

    再確認したい項目

    • 必要書類に不足や不鮮明な箇所がなかったか
    • 申込内容と登記情報が一致しているか
    • 事業内容を具体的に説明できているか
    • 契約書や請求書など、事業実態を示す資料があるか
    • 本店所在地の利用状況を説明できるか
    • 必要な許認可を確認しているか
    • 会社の連絡先やWebサイトが整っているか

    不足している情報や資料を整理したうえで、別の金融機関への申込みも検討します。同じ内容で短期間に多数の金融機関へ申し込むのではなく、会社の状況と利用目的に合う金融機関を選びましょう。

    口座開設を目的として、事業内容、所在地、取引実績などについて事実と異なる説明をしてはいけません。確認された内容には正確に回答してください。

    14. 法人口座利用時の注意点

    • 個人的な買い物や生活費の支払いに使用しない
    • 暗証番号や認証情報を複数人で共有しない
    • 不審なメールや偽のログイン画面に注意する
    • 振込先と金額を承認前に確認する
    • 取引内容を説明できない入出金を放置しない
    • 口座情報や代表者情報に変更があれば届け出る
    • 長期間使用しない口座も定期的に確認する
    • 通帳や取引明細を会計帳簿と照合する

    会社から代表者へ自由に送金しない

    法人口座のお金は、代表者個人のお金ではありません。役員報酬、立替経費の精算、貸付金の返済など、送金の理由を明確にして経理処理を行います。

    15. 法人口座開設に関するよくある質問

    会社設立前に法人口座を作れますか?

    法人名義の口座は、原則として会社の設立登記完了後に申し込みます。登記前に事業資金を管理する方法については、利用する金融機関や税理士へ確認してください。

    資本金が少ないと口座を開設できませんか?

    資本金だけで口座開設の可否が決まるとは限りません。事業内容、所在地、取引目的、提出資料などを含めて確認されます。

    固定電話がないと口座を開設できませんか?

    必要となる連絡先は金融機関によって異なります。携帯電話で申し込める場合もありますが、申込先の条件を確認してください。

    会社のWebサイトは必須ですか?

    Webサイトが必須かどうかは金融機関によって異なります。ただし、事業内容や連絡先を示す資料として役立つ場合があります。

    バーチャルオフィスでも口座を開設できますか?

    バーチャルオフィスであることだけで、一律に開設できないとは限りません。事業実態、所在地の利用権限、連絡方法などについて、追加確認を受ける可能性があります。

    複数の銀行で法人口座を作れますか?

    複数の法人口座を持つことは可能です。ただし、口座ごとの用途を決め、入出金や残高を正しく管理できるようにします。

    口座開設までどれくらいかかりますか?

    金融機関、申込方法、提出書類、追加確認の有無などによって異なります。開設日を断定せず、余裕を持って申し込みましょう。

    審査に通る方法を教えてもらえますか?

    口座開設を保証する方法はありません。会社情報を正確に記載し、事業内容と口座の利用目的を具体的に説明できるように準備することが大切です。

    参考情報

    必要書類、申込条件、手数料、サービス内容は、金融機関や申込時期によって異なります。申込み前に、利用する金融機関の公式サイトで最新情報を確認してください。