許認可・業種別
会社設立に許認可が必要な業種一覧|確認時期と申請先を解説
事業内容によっては、会社を設立しただけでは営業を開始できず、行政機関などの許可、認可、登録、免許、届出が必要です。許認可の要件には、定款の事業目的、本店や営業所、資本金、資格者、設備などが関係することがあります。会社の基本事項を決める前に、必要な許認可を確認しましょう。
会社設立と許認可の要点
- 会社を設立しただけで、すべての事業を開始できるわけではありません。
- 許認可が必要かどうかは、実際に行う事業内容によって判断します。
- 定款の事業目的に、許認可で求められる表現が必要な場合があります。
- 自宅やバーチャルオフィスでは要件を満たせない許認可があります。
- 資本金や財産的基礎が審査対象になる場合があります。
- 許認可を取得するまでは、対象となる営業を開始できない場合があります。
許認可とは
許認可とは、特定の事業を行うために、行政機関などから受ける許可、認可、登録、免許、指定、届出、認証などの手続きの総称です。
必要な手続きを行わずに営業すると、営業停止、許可の取消し、罰則などの対象になる可能性があります。また、銀行口座、融資、店舗契約、取引先との契約に影響することもあります。
許可
法令上制限されている事業について、要件を満たした場合に営業を認めてもらう手続きです。
認可
行政機関が同意することにより、法律上の効果を完成させる手続きです。
登録・免許
一定の要件を満たして名簿などへ登録されることや、特定事業を行う資格を得る手続きです。
届出
定められた事項を行政機関へ届け出る手続きです。届出後でなければ営業できない場合もあります。
手続きの名称だけで、審査の難易度や営業開始時期を判断することはできません。必ず対象事業の法令と申請先の最新案内を確認してください。
許認可は会社設立前に確認する
多くの許認可は会社設立後に法人名義で申請します。しかし、申請要件は会社設立前に確認する必要があります。
確認せずに会社を設立すると、定款の変更、本店や営業所の移転、資本金の追加、資格者の採用などが必要になる可能性があります。
会社設立前に確認する理由
- 定款に適切な事業目的を記載するため
- 営業所として使用できる物件を選ぶため
- 必要な資本金や自己資金を準備するため
- 資格者や実務経験者を確保するため
- 設備・面積・構造などの基準を満たすため
- 営業開始日から逆算して申請するため
- 申請中の運転資金を確保するため
「法人設立後でなければ申請できない」ことと、「法人設立後に調べ始めればよい」ことは同じではありません。要件の確認は会社設立前に行いましょう。
許認可が必要になりやすい業種一覧
次は代表的な例です。同じ業種名でも、実際のサービス内容や営業方法によって必要な手続きが異なる場合があります。
| 業種・事業 | 主な手続き | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 飲食店営業許可など | 保健所 |
| 食品製造・販売 | 業種に応じた営業許可・届出など | 保健所 |
| 旅館・ホテル | 旅館業許可など | 保健所・自治体 |
| 理容室・美容室 | 開設届、検査など | 保健所 |
| 中古品の売買 | 古物商許可 | 警察署・公安委員会 |
| 警備業 | 警備業認定など | 警察署・公安委員会 |
| 建設業 | 建設業許可 | 都道府県・国土交通省 |
| 不動産取引 | 宅地建物取引業免許 | 都道府県・国土交通省 |
| 酒類の販売 | 酒類販売業免許 | 税務署 |
| 旅行業 | 旅行業登録など | 都道府県・観光庁など |
| 運送業 | 事業内容に応じた許可・届出 | 運輸支局など |
| 労働者派遣 | 労働者派遣事業許可 | 都道府県労働局 |
| 有料職業紹介 | 有料職業紹介事業許可 | 都道府県労働局 |
| 医薬品・医療機器関係 | 事業内容に応じた許可・登録など | 都道府県・厚生労働省など |
この表はすべての業種・手続きを網羅するものではありません。新しいサービスや複数の業種を組み合わせる事業では、複数の許認可が必要になることがあります。
飲食店・食品関係の許認可
飲食店を営業する場合は、原則として保健所の飲食店営業許可が必要です。食品を製造、加工、販売する場合も、取り扱う食品や営業方法に応じて許可・届出が必要になります。
事前に確認する主な項目
- 予定する営業内容に必要な許可・届出
- 店舗の構造や設備の基準
- 手洗い、給排水、保管設備などの要件
- 食品衛生責任者の設置
- 店舗工事前の図面相談
- 消防関係の手続き
- 深夜営業や酒類提供に関する手続き
店舗の工事が完了してから設備基準を満たしていないことが分かると、追加工事が必要になる可能性があります。賃貸借契約や内装工事の前に、管轄保健所へ相談しましょう。
建設業許可
建設工事の完成を請け負う事業では、工事の種類や金額などにより建設業許可が必要です。
国土交通省は、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合を除き、建設業許可が必要と案内しています。
| 工事の種類 | 軽微な建設工事の主な基準 |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事 |
| 建築一式以外の工事 | 1件の請負代金が500万円未満 |
上記金額には、取引にかかる消費税・地方消費税を含みます。また、材料を注文者が提供する場合などは、材料価格を含めて判断する場合があります。
建設業許可で確認する主な項目
- 取得する建設業の業種
- 知事許可または国土交通大臣許可
- 一般建設業または特定建設業
- 営業所の要件
- 経営業務の管理体制
- 営業所技術者などの人的要件
- 財産的基礎
- 欠格要件に該当しないこと
工事を細かく分割した場合や、材料を別契約にした場合でも、実態に基づいて請負金額が判断されることがあります。許可の要否は申請先または専門家へ確認してください。
宅地建物取引業免許
宅地や建物の売買、交換、売買・交換・賃貸の代理や媒介を業として行う場合は、宅地建物取引業免許が必要です。
会社設立前に確認する主な項目
- 定款の事業目的
- 独立性を備えた事務所
- 専任の宅地建物取引士
- 代表者や役員などの欠格要件
- 営業保証金または保証協会への加入
- 知事免許または国土交通大臣免許
一つの都道府県内だけに事務所を設置する場合と、複数の都道府県に事務所を設置する場合では、免許権者が異なります。
登記上の本店があるだけでは、宅建業の事務所要件を満たさない場合があります。物件契約前に、申請先が公開している手引きを確認してください。
古物商許可
中古品を仕入れて販売する事業など、古物営業法上の古物営業を行う場合は、公安委員会の古物商許可が必要です。
実店舗だけでなく、インターネットショップやオークションサイトなどで中古品を取り扱う場合も、許可が必要になることがあります。
会社設立前に確認する主な項目
- 取り扱う商品が古物に該当するか
- 営業所の所在地
- 営業所ごとの管理者
- 役員や管理者の欠格要件
- インターネットを利用する場合のURL
- 取り扱う古物の区分
自分で使用していた物を売るだけの場合と、中古品を仕入れて継続的に販売する場合では扱いが異なります。判断できない場合は、営業所を管轄する警察署へ確認してください。
人材派遣・職業紹介の許可
労働者派遣事業や有料職業紹介事業を行う場合は、原則として厚生労働大臣の許可が必要です。
自社で労働者を雇用して派遣先で働かせる「労働者派遣」と、求人企業と求職者の雇用成立を仲介する「職業紹介」では、制度と許可要件が異なります。
会社設立前に確認する主な項目
- 行うサービスが派遣・紹介・求人情報提供のどれに該当するか
- 資産や現預金などの財産要件
- 事業所の面積やプライバシー確保
- 派遣元責任者・職業紹介責任者などの人的要件
- 事業運営に必要な規程や個人情報管理体制
- 定款の事業目的
ウェブサイトで求人情報を掲載するサービスでも、求人企業と求職者の間にどのように関与するかによって該当する制度が異なる可能性があります。
その他の許認可が必要になりやすい業種
| 業種 | 事前に確認したい内容 |
|---|---|
| 酒類販売業 | 販売方法に応じた酒類販売業免許 |
| 旅館・民泊 | 旅館業許可、住宅宿泊事業の届出、自治体の条例など |
| 旅行業 | 取扱業務に応じた旅行業登録、営業保証金など |
| 貨物・旅客運送 | 車両、営業所、車庫、運行管理体制など |
| 警備業 | 公安委員会の認定、警備員指導教育責任者など |
| 理容・美容業 | 資格者、施設基準、保健所の検査など |
| 医薬品販売 | 店舗、資格者、販売方法に応じた許可など |
| 産業廃棄物関係 | 収集運搬・処分など事業内容に応じた許可 |
| 金融・投資関連 | 事業内容に応じた登録・許可と人的・財産要件 |
| 介護・障害福祉 | サービスごとの指定、人員、設備、運営基準 |
同じ事業分野でも、サービス内容によって申請する許認可や申請先が変わる場合があります。広告や契約書で使用する名称だけで判断せず、実際に提供するサービスの流れを整理しましょう。
会社設立前に確認する許認可要件
会社形態
株式会社、合同会社、個人事業など、申請できる事業者の形態を確認します。
定款の事業目的
申請する事業が目的へ適切に記載されているか確認します。
本店・営業所
独立性、使用権限、広さ、設備、用途などを確認します。
資本金・財産
最低資本金、自己資本、現預金などの要件を確認します。
資格者・責任者
必要な資格、実務経験、常勤性、専任性などを確認します。
役員・株主
欠格要件や一定の関係者に関する確認事項を調べます。
設備・車両
業務に必要な設備、車両、保管場所などを確認します。
申請期間
申請から許可取得までの標準処理期間を確認します。
バーチャルオフィスや住居専用物件では、営業所の実体や独立性などの要件を満たせない場合があります。物件契約前に許認可の要件を確認してください。
許認可を確認・申請する流れ
-
STEP 1
事業内容を具体的に整理する
誰に、何を、どのような方法で提供し、どこから収益を得るかを整理します。
-
STEP 2
必要な許認可を調べる
国、都道府県、市区町村、警察署、保健所などの案内を確認します。
-
STEP 3
申請先へ事前相談する
事業内容、会社形態、営業所などの計画を説明して要件を確認します。
-
STEP 4
会社の基本事項を決める
許認可要件を踏まえて、定款、資本金、本店所在地、役員などを決めます。
-
STEP 5
会社を設立する
定款作成、資本金の払込み、設立登記などを行います。
-
STEP 6
営業所や人員を整える
許認可で求められる設備、資格者、責任者、規程などを準備します。
-
STEP 7
許認可を申請する
申請書と添付書類を提出し、必要に応じて現地調査や補正へ対応します。
-
STEP 8
許可後に営業を開始する
許可証の受領、標識の掲示、帳簿の準備などを行って営業を開始します。
会社設立と許認可でよくある注意点
定款の目的が不足している
申請する事業が定款の事業目的に適切に記載されていない場合があります。
物件が要件を満たさない
登記できても、許認可上の営業所として使用できない場合があります。
資本金が不足している
会社法上は設立できても、許認可の財産要件を満たせない場合があります。
資格者を確保できていない
常勤・専任などの要件を満たす責任者が必要になることがあります。
許可前に営業を開始する
申請中であっても、許可取得前には営業できない場合があります。
取得後の手続きを忘れる
更新、変更届、帳簿、標識、定期報告などが必要な許認可があります。
許認可の名義、営業所、役員、責任者などに変更がある場合は、変更前の承認や変更後の届出が必要になることがあります。
許認可は誰に相談する?
まずは、許認可を担当する行政機関へ確認します。申請書類の作成や提出を依頼したい場合は、対象業務を扱う行政書士などへ相談できます。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 許認可の要否・申請要件 | 申請を担当する行政機関 |
| 許認可申請書類の作成・申請代理 | 対象業務を扱う行政書士など |
| 会社の設立登記 | 司法書士 |
| 税務上の相談・税務届出 | 税理士 |
| 社会保険・労働保険 | 社会保険労務士 |
| 法的紛争や契約上の問題 | 弁護士 |
専門家へ依頼するときは、希望する業種の許認可を扱った経験があるか、会社設立から許可取得まで連携できるかを確認しましょう。
会社設立と許認可のよくある質問
会社を設立すればすぐに営業できますか?
許認可が不要な事業であれば営業を始められる場合があります。許認可が必要な事業は、許可・登録・届出などの手続きが完了するまで営業を開始できないことがあります。
許認可は会社設立前に申請できますか?
法人名義の申請は、設立登記後でなければできない場合があります。ただし、要件確認や行政機関への事前相談は会社設立前に行うことが重要です。
定款へ事業目的を書けば許可を取得できますか?
定款への記載だけで許可を取得できるわけではありません。営業所、資本金、資格者、設備、欠格要件などの審査が必要になる場合があります。
自宅を営業所にできますか?
許認可の種類、物件の構造、賃貸借契約、自治体の基準などによって異なります。自宅住所で登記できる場合でも、許認可上の営業所要件を満たすとは限りません。
バーチャルオフィスでも許認可を取得できますか?
独立した営業所や設備を求める許認可では、バーチャルオフィスで要件を満たすことが難しい場合があります。契約前に申請先へ確認してください。
インターネットだけの事業でも許認可は必要ですか?
営業方法がオンラインであっても、中古品の売買、職業紹介、酒類販売など、事業内容によって許認可が必要になる場合があります。
複数の事業を行う場合は許認可も複数必要ですか?
事業内容ごとに別の許認可が必要になる場合があります。それぞれの申請先、要件、営業開始時期を確認してください。
主な確認先
次に確認したいこと
許認可について専門家へ相談する前に
行政書士へ相談できる内容と、司法書士などほかの専門家との違いを確認できます。
