建設会社の設立・許可申請

建設会社の設立と建設業許可|必要な要件・申請手続き・注意点を解説

建設工事の完成を請け負う事業では、軽微な建設工事だけを取り扱う場合を除き、建設業法に基づく建設業許可が必要です。

建設業許可を取得するには、建設会社を設立するだけでなく、経営経験、技術者、営業所、財産的基礎などの要件を満たす必要があります。このページでは、会社設立前に確認したい許可要件と申請手続きを解説します。

建設会社設立時に確認する工事内容、許可業種、許可区分、管理体制、技術者、営業所と財産を整理した図
建設会社設立と建設業許可で確認したい全体像です。

建設会社を設立する際の要点

許可が必要な工事
原則として、軽微な建設工事を超える工事を請け負う場合は建設業許可が必要です。
業種別の許可
建設業許可は、実際に請け負う工事に対応した29業種ごとに取得します。
設立前の確認
役員、技術者、営業所、資本金などを決める前に許可要件を確認します。
許可取得後
決算変更届、各種変更届、5年ごとの更新などの管理が必要です。

1. 建設業許可が必要になる工事

建設業許可の要否を判断する工事内容、請負契約、金額規模、分割判断、元請下請、個別確認を整理した図
許可の要否は、工事名だけでなく契約内容と工事全体で確認します。

建設工事の完成を請け負うことを営業とする場合は、公共工事か民間工事かを問わず、原則として建設業許可を受ける必要があります。

ただし、国土交通省が定める「軽微な建設工事」だけを請け負って営業する場合は、建設業許可を受けなくても営業できる場合があります。

請負金額を意図的に分割して判断することはできません。

同一の工事について契約を複数に分けた場合でも、正当な理由がなければ合計額で許可の要否を判断される可能性があります。

許可が必要か判断できない場合は、工事内容、契約金額、材料の提供方法などを整理して許可行政庁へ確認してください。

2. 軽微な建設工事とは

建設業許可を受けなくても請け負える軽微な建設工事は、工事の種類によって基準が異なります。

工事の種類 軽微な建設工事の基準
建築一式工事 1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事
建築一式工事以外 1件の請負代金が500万円未満の工事

金額には、原則として消費税と地方消費税を含めて判断します。注文者から材料の提供を受ける場合は、材料の市場価格などを請負代金へ加えて判断する場合があります。

許可が不要な軽微な工事だけを行う場合でも、電気工事業、解体工事業、浄化槽工事業などについて、別の登録や届出が必要になる可能性があります。

3. 建設業許可は29業種に分かれる

建設業許可の29業種、営業所区域、知事許可、大臣許可、一般特定区分、複数業種を整理した図
工事内容、営業所の区域、請負体制から必要な許可区分を整理します。

建設業許可は、会社単位で1つ取得すればすべての工事を請け負えるわけではありません。実際に行う建設工事の種類ごとに許可を取得します。

建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と、27の専門工事を合わせた29業種に分かれています。

主な建設業種の例

  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 大工工事業
  • 左官工事業
  • とび・土工工事業
  • 屋根工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 内装仕上工事業
  • 造園工事業
  • 解体工事業

「建築一式工事」の許可だけで、すべての専門工事を単独で請け負えるわけではありません。

実際に請け負う工事内容を確認し、対応する業種の許可を選ぶ必要があります。

4. 国土交通大臣許可と都道府県知事許可

大臣許可と知事許可の区分は、工事を行う場所ではなく、建設業の営業所を置く都道府県の数で判断します。

都道府県知事許可

1つの都道府県の区域内だけに建設業の営業所を設ける場合に申請します。

国土交通大臣許可

2つ以上の都道府県の区域内に建設業の営業所を設ける場合に申請します。

知事許可でも、営業所が1つの都道府県内だけであれば、ほかの都道府県にある工事現場で施工することは可能です。

5. 一般建設業と特定建設業

建設業許可には、下請契約の規模などに応じて一般建設業と特定建設業があります。

一般建設業

特定建設業に該当しない場合に取得します。下請工事だけを行う場合も、通常はこちらを検討します。

特定建設業

発注者から直接請け負った工事について、一定額以上の下請契約を締結する場合に必要です。

国土交通省の案内では、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請契約の総額が5,000万円以上となる場合、原則として特定建設業許可が必要です。

建築一式工事の場合は、下請契約の総額が8,000万円以上となる場合が基準です。これらの金額基準は2025年2月1日に引き上げられています。

元請工事の請負金額そのものではなく、元請として締結する下請契約の総額で区分を判断します。下請として工事を行う場合には、同じ金額制限は適用されません。

6. 建設業許可の主な要件

建設業許可で確認する経営管理体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎、欠格要件、社会保険を整理した図
建設業許可の主な要件と、証明資料の確認項目です。

建設業許可を取得するには、建設業法で定められた許可要件を満たし、欠格要件に該当しないことが必要です。

  • 建設業の経営業務を適正に管理できる体制がある
  • 営業所ごとに営業所技術者等を置いている
  • 請負契約について誠実性がある
  • 財産的基礎または金銭的信用がある
  • 適切に社会保険へ加入している
  • 許可を受けられない欠格要件に該当しない

一般建設業と特定建設業では、技術者や財産的基礎について求められる要件が異なります。

7. 経営業務の管理体制

建設業許可で確認する管理体制、営業所技術者等、常勤性、経験資料、資格資料、営業所実態を整理した図
人員・経験・営業所について、要件と証明資料を併せて確認します。

建設業許可では、建設業の経営業務を適正に行うための管理体制が必要です。

法人の場合は、常勤役員のうち一定の経験を持つ人を置く方法や、一定の組織体制によって要件を満たす方法などがあります。

経験を証明する資料の例

  • 会社の登記事項証明書
  • 確定申告書
  • 工事請負契約書
  • 注文書・請書
  • 請求書と入金記録
  • 建設業許可通知書
  • 役員としての在籍期間を確認できる資料
  • 健康保険証や住民税資料など常勤性を確認できる資料

経験があっても、客観的な資料で証明できないと要件を確認できない場合があります。

過去の会社から証明資料を取得できるか、会社設立前に確認しておきましょう。

8. 営業所技術者等

建設業許可を受けて営業する各営業所には、許可を受ける業種に対応した資格や実務経験を持つ営業所技術者等を専任で置く必要があります。

一般建設業では、国家資格、指定学科の卒業と実務経験、一定年数の実務経験などによって要件を満たせる場合があります。

確認する主な事項

  • 取得しようとする許可業種
  • 保有している国家資格
  • 卒業した学校と学科
  • 許可業種に関する実務経験
  • 実務経験を証明できる資料
  • 会社との雇用・役員関係
  • 営業所での常勤性
  • ほかの会社や営業所との兼務状況

営業所技術者等が退職し、後任者がいない状態になると、許可を維持できなくなる可能性があります。資格者1人だけに依存する体制にも注意が必要です。

9. 建設業の営業所

建設業法上の営業所は、単に登記上の本店として登録されているだけでは足りません。

建設工事の請負契約について、見積り、入札、契約締結などを実質的に行う事務所であることが必要です。

営業所で確認される主な事項

  • 事務所として使用する権限がある
  • 独立した事務所スペースがある
  • 電話・机・書類保管設備などがある
  • 建設業務を継続して行える状態である
  • 経営業務の管理を担う常勤役員等が勤務している
  • 営業所技術者等が常勤している
  • 看板や郵便受けなどで事業所を確認できる

自宅、レンタルオフィス、バーチャルオフィスを使用する場合は、許可上の営業所として認められるか、賃貸借契約や使用状況を含めて確認する必要があります。

10. 財産的基礎・金銭的信用

建設業許可では、請負契約を履行できる財産的基礎または金銭的信用が求められます。

一般建設業の場合

国土交通省の案内では、原則として次のいずれかを満たす必要があります。

  • 自己資本が500万円以上ある
  • 500万円以上の資金調達能力がある
  • 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績がある

特定建設業の場合

特定建設業では、資本金、自己資本、流動比率、欠損などについて、一般建設業より厳しい財産要件が設けられています。

資本金を500万円にすれば、それだけで建設業許可を取得できるわけではありません。経営体制、技術者、営業所、社会保険など、ほかの要件もすべて満たす必要があります。

11. 会社設立前に決めること

建設会社設立前に決める商号、事業目的、本店営業所、資本金、役員人員、決算期と開始時期を整理した図
登記・物件契約・採用の前に、建設業許可と整合させたい会社の基本事項です。

建設業許可を取得する予定がある場合は、通常の会社設立事項に加えて、許可要件を満たす内容になっているか確認します。

項目 建設業許可を考慮した確認内容
事業目的 取得予定の建設業種に対応する工事内容を定款へ記載します。
役員 経営業務の管理体制や欠格要件を確認します。
技術者 営業所技術者等の資格、経験、常勤性を確認します。
本店・営業所 建設業法上の営業所として使用できる場所か確認します。
資本金 財産的基礎、当面の運転資金、工事代金の立替えなどを考慮します。
社会保険 健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの加入状況を確認します。
許可業種 実際に請け負う工事内容に対応する業種を確認します。

12. 会社設立から許可取得までの流れ

工事整理、許可区分確認、人員確認、営業所財産確認、会社設立、書類準備と建設業許可申請の流れを整理した図
営業開始予定日から逆算する、会社設立と建設業許可申請の流れです。
  1. STEP 1

    請け負う工事内容を整理する

    工事の種類、請負金額、元請・下請の予定を整理します。

  2. STEP 2

    必要な許可区分と業種を確認する

    大臣・知事、一般・特定、取得する建設業種を確認します。

  3. STEP 3

    経営経験と技術者要件を確認する

    対象者の経験、資格、証明資料、常勤性を確認します。

  4. STEP 4

    営業所と財産要件を確認する

    事務所の使用権限、設備、資本金や資金調達能力を確認します。

  5. STEP 5

    会社の基本事項を決める

    商号、目的、本店、資本金、役員、事業年度などを決めます。

  6. STEP 6

    会社設立登記を行う

    定款を作成し、法務局へ会社設立登記を申請します。

  7. STEP 7

    社会保険へ加入する

    会社の状況に応じて健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの手続きを行います。

  8. STEP 8

    許可申請書類を準備する

    会社情報、経験、技術者、営業所、財産要件を証明する資料を集めます。

  9. STEP 9

    建設業許可を申請する

    許可行政庁へ書面または対応する電子申請システムで申請します。

  10. STEP 10

    許可後に営業を開始する

    許可通知と許可業種を確認し、帳簿や標識などを整備します。

13. 建設業許可申請の主な必要書類

必要書類は、許可行政庁、申請区分、会社や対象者の状況によって異なります。

会社に関する書類

  • 建設業許可申請書
  • 会社の登記事項証明書
  • 定款
  • 役員などの一覧
  • 財務諸表
  • 納税証明書
  • 社会保険の加入を確認できる資料

人員・経験に関する書類

  • 経営業務の管理経験を証明する資料
  • 営業所技術者等の資格証明書
  • 実務経験証明書
  • 常勤性を確認できる資料
  • 健康保険や住民税などに関する資料

営業所に関する書類

  • 営業所の使用権限を確認できる書類
  • 賃貸借契約書など
  • 営業所の写真
  • 営業所の案内図・平面図

過去の経験を証明する書類は、対象期間にわたって多数必要になる場合があります。早い段階で資料が残っているか確認しましょう。

14. 許可取得後に必要な手続き

建設業許可取得後に確認する変更届、決算報告、更新、標識帳簿、要件維持、許可前受注の注意を整理した図
許可取得後の期限管理・要件維持と、申請前後の注意点です。

建設業許可は、取得した後も継続的な管理が必要です。

  • 毎事業年度終了後の決算変更届
  • 商号や所在地を変更した場合の届出
  • 役員を変更した場合の届出
  • 営業所技術者等を変更した場合の届出
  • 経営業務の管理体制を変更した場合の届出
  • 許可業種を追加する場合の申請
  • 一般・特定の区分を変更する場合の申請
  • 5年ごとの許可更新
  • 営業所や工事現場への標識掲示
  • 営業に関する帳簿の作成・保存

建設業許可の有効期間は5年間です。引き続き建設業を営む場合は、有効期間が満了する30日前までに更新申請を行う必要があります。

決算変更届などが未提出のままでは、更新申請や業種追加を受け付けてもらえない場合があります。許可取得後も期限を管理しましょう。

15. 建設会社設立でよくある失敗

会社設立後に許可要件を確認する

役員、資本金、本店所在地などを決めた後で、許可要件を満たしていないことが分かる場合があります。

必要な許可業種を間違える

工事の名称だけで判断すると、実際の施工内容に対応する業種と食い違う可能性があります。

経営経験を証明できない

実際に経験があっても、契約書、請求書、登記事項証明書などが残っていないと証明が難しくなる場合があります。

技術者が常勤できない

他社へ勤務している人や、遠方に居住している人などは、営業所での常勤性が認められない可能性があります。

バーチャルオフィスだけで申請しようとする

実体のある営業所として使用できなければ、建設業の営業所と認められない可能性があります。

許可取得前に基準を超える工事を請け負う

許可申請中であっても、許可を受ける前に許可が必要な工事を請け負えるとは限りません。

16. 申請前のチェックリスト

  • 請け負う工事内容と金額を整理している
  • 取得する建設業種を確認している
  • 知事許可・大臣許可の区分を確認している
  • 一般建設業・特定建設業の区分を確認している
  • 経営業務の管理体制に関する要件を確認している
  • 経営経験の証明資料を準備できる
  • 営業所技術者等の資格・経験を確認している
  • 技術者の常勤性を確認している
  • 営業所として使用できる場所を確保している
  • 財産的基礎・金銭的信用を確認している
  • 社会保険へ適切に加入している
  • 役員などが欠格要件に該当しないことを確認している
  • 定款の事業目的が工事内容に対応している
  • 最新の申請書類と審査基準を確認している

17. 建設業許可に関するよくある質問

500万円以下の工事なら許可は不要ですか?

建築一式工事以外では、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な建設工事の基準です。500万円ちょうどの場合や、材料費を加える場合などは注意が必要です。

資本金500万円で会社を作れば許可を取得できますか?

資本金だけでは取得できません。経営業務の管理体制、営業所技術者等、営業所、誠実性、社会保険、欠格要件なども確認されます。

知事許可では県外の工事を施工できませんか?

知事許可と大臣許可は営業所の所在地で区分します。知事許可でも、県外の工事現場で施工することは可能です。

一式工事の許可があれば専門工事も請け負えますか?

一式工事は複数の専門工事を総合的に企画・指導・調整する工事です。専門工事を単独で請け負う場合は、対応する専門工事業の許可が必要になる可能性があります。

自宅を建設業の営業所にできますか?

自宅でも、使用権限、事務所としての実体、賃貸借契約や管理規約などの条件を満たせば認められる可能性があります。許可行政庁へ事前に確認してください。

許可申請中に大きな工事を請け負えますか?

申請しただけでは許可を取得したことになりません。許可が必要な工事をいつから請け負えるか、許可行政庁や専門家へ確認してください。

建設業許可は行政書士へ依頼できますか?

建設業許可申請を取り扱う行政書士へ依頼できます。会社設立登記は司法書士、税務は税理士、社会保険は社会保険労務士が主な相談先です。

参考となる公的情報