自分で会社設立
オンラインで会社設立する方法|電子定款・登記申請の手順と注意点
株式会社や合同会社の設立登記は、法務局の窓口へ申請書を持参する方法だけでなく、オンラインで申請することもできます。
ただし、「電子定款」「オンライン登記申請」「法人設立ワンストップサービス」はそれぞれ別の仕組みです。このページでは、オンラインで会社を設立するための準備、手続きの流れ、必要な機器、注意点を初心者向けに解説します。
オンラインで会社を設立する際の要点
- 電子定款
- 定款を電子データとして作成し、電子署名を付けて使用する方法です。
- 登記申請
- 登記・供託オンライン申請システムを利用して、会社設立登記を申請できます。
- 必要な環境
- パソコン、電子証明書、マイナンバーカード、ICカードリーダライタなどが必要になる場合があります。
- 注意点
- すべての書類を正しく電子化できなければ、一部の書類を法務局へ提出する場合があります。
1. オンライン会社設立とは
オンライン会社設立とは、会社設立に必要な手続きの全部または一部を、インターネットを利用して行う方法です。
会社設立には、定款の作成、株式会社の定款認証、資本金の払込み、法務局への設立登記申請、設立後の税務・社会保険手続きなどがあります。
これらのすべてが、同じシステムで自動的に完了するわけではありません。手続きごとに利用する仕組みや必要な準備が異なります。
2. 電子定款・オンライン登記・ワンストップサービスの違い
オンライン会社設立に関係する主な仕組みには、電子定款、オンライン登記申請、法人設立ワンストップサービスがあります。
| 仕組み | 主な目的 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 電子定款 | 定款を電子データで作成する | PDFなどで定款を作成し、必要な電子署名を付けます。 |
| オンライン登記申請 | 法務局へ設立登記を申請する | 登記申請情報と添付書類をオンラインで送信します。 |
| 法人設立ワンストップサービス | 会社設立に関連する複数の手続きをまとめて進める | 登記、税務、社会保険などの関連手続きをオンラインで行います。 |
3. オンラインで会社を設立するメリット
法務局へ行かずに申請できる
必要な環境が整っていれば、パソコンから設立登記を申請できます。
処理状況を確認できる
申請データの到達状況や、登記手続きの処理状況をオンラインで確認できます。
登録免許税を電子納付できる
インターネットバンキングなどを利用して、登録免許税を電子納付できます。
一部の添付書類を省略できる場合がある
電子証明書を使って電子署名を行うことで、一部の本人確認書類などが不要になる場合があります。
電子定款を利用すると、紙の定款原本に必要となる収入印紙が不要になる点も大きな違いです。
4. オンライン申請の注意点
- パソコンや電子署名に関する準備が必要になる
- 申請用ソフトのインストールや初期設定が必要になる
- 電子証明書の種類や有効期限を確認する必要がある
- 添付書類を指定された形式で作成する必要がある
- 入力内容に誤りがあると補正が必要になる
- 一部の書類を別途提出する場合がある
- 休日や受付時間外の送信は翌業務日の受付になる場合がある
- パソコン環境によってソフトが正常に動作しない場合がある
パソコン操作に慣れていない場合は、書面申請より準備に時間がかかる可能性があります。費用だけでなく、設定や確認に必要な時間も考えて選びましょう。
5. オンライン申請に必要なもの
代表取締役本人がマイナンバーカードを利用して株式会社の設立登記をオンライン申請する場合、主に次のものを準備します。
| 必要なもの | 確認する内容 |
|---|---|
| パソコン | 申請用総合ソフトの動作環境を満たしているか確認します。 |
| インターネット環境 | 申請データや添付書類を安定して送信できる環境を用意します。 |
| マイナンバーカード | 電子署名に使用します。電子証明書の有効期限も確認します。 |
| 暗証番号 | 電子署名用の暗証番号などを確認します。 |
| ICカードリーダライタ | パソコンでマイナンバーカードを読み取るために使用します。 |
| 申請用総合ソフト | 登記・供託オンライン申請システムから入手し、パソコンへインストールします。 |
| 申請者情報 | 初めて利用するときは、登記・供託オンライン申請システムへ登録します。 |
| 電子化した添付書類 | 定款、就任承諾書、払込みを証する書面など、会社の状況に応じた書類を準備します。 |
6. 申請前に決める会社の基本事項
オンライン申請の準備を始める前に、会社の基本事項を決めておきます。
- 株式会社または合同会社のどちらにするか
- 会社の商号
- 会社の事業目的
- 本店所在地
- 資本金の額
- 出資者と出資割合
- 役員構成
- 公告方法
- 事業年度
- 会社設立予定日
許認可が必要な事業では、定款の事業目的や事務所に条件が設けられている場合があります。定款を確定する前に確認してください。
7. 電子定款を作成する
電子定款は、定款を電子データとして作成し、発起人などが電子署名を付けたものです。
株式会社の場合
定款の作成後、原則として公証人による定款認証が必要です。電子定款の認証手続きと設立登記は別の手続きです。
合同会社の場合
定款の作成は必要ですが、公証人による定款認証は必要ありません。
-
STEP 1
定款の内容を決める
商号、事業目的、本店所在地、資本金、役員構成などを定款へ反映します。
-
STEP 2
定款を電子データにする
指定された形式で定款データを作成します。作成後に内容や文字の崩れがないか確認します。
-
STEP 3
電子署名を付ける
利用できる電子証明書を使い、定款データへ適切な電子署名を付けます。
-
STEP 4
株式会社は定款認証を受ける
本店所在地を管轄する公証役場へ事前に相談し、必要な方法で電子定款の認証を受けます。
8. 設立登記をオンライン申請する
会社の基本事項、定款、資本金の払込み、添付書類の準備が完了したら、設立登記をオンラインで申請します。
-
STEP 1
申請者情報を登録する
初めて利用する場合は、登記・供託オンライン申請システムへ申請者情報を登録します。
-
STEP 2
申請用総合ソフトを準備する
公式サイトから申請用総合ソフトを入手し、必要な初期設定を行います。
-
STEP 3
設立登記の申請情報を作成する
会社形態に合った申請様式を選択し、商号、本店、資本金、役員などを入力します。
-
STEP 4
登記すべき事項を作成する
登記簿へ記録される内容を、定款やほかの添付書類と一致させて入力します。
-
STEP 5
添付書類を追加する
定款、就任承諾書、払込みを証する書面など、必要な添付書類のデータを追加します。
-
STEP 6
電子署名を付ける
申請情報と必要な添付書類に、指定された電子署名を付けます。
-
STEP 7
申請データを送信する
送信前に内容を見直し、本店所在地を管轄する法務局へ申請データを送信します。
9. 登録免許税を電子納付する
オンラインで設立登記を申請した後は、登録免許税を納付します。
電子納付を利用する場合は、申請用総合ソフトに表示される納付情報などを確認し、対応している金融機関のインターネットバンキングなどから納付します。
- 会社形態に応じた登録免許税額を確認した
- 納付情報を確認した
- 納付期限を確認した
- 利用する金融機関が電子納付に対応している
- 納付完了を確認した
- 納付記録を保存した
10. 登記申請後の確認と設立後の手続き
申請データを送信した後は、申請用総合ソフトなどで処理状況を確認します。
| 確認する状態 | 主な対応 |
|---|---|
| 到達・受付 | 申請データがシステムへ到達し、管轄法務局で受け付けられたことを確認します。 |
| 納付 | 登録免許税の納付状況を確認します。 |
| 補正 | 法務局から修正の連絡がある場合は、内容と期限を確認して対応します。 |
| 手続終了 | 登記手続きが完了したことを確認します。 |
会社設立登記が完了した後は、必要に応じて登記事項証明書や印鑑証明書を取得し、法人口座、税務、社会保険、許認可などの手続きを進めます。
11. オンライン申請で注意したい失敗
- 定款と登記申請情報で商号や本店所在地の表記が異なる
- 事業目的に誤字や表記の不一致がある
- 役員の氏名や住所を住民票どおりに入力していない
- 添付書類に必要な電子署名を付けていない
- 電子証明書の有効期限が切れている
- 資本金の払込み日が適切でない
- 払込みを証明する書類が不足している
- 本店所在地とは異なる法務局へ申請している
- 登録免許税の金額を間違えている
- 補正のお知らせを確認していない
申請前に、定款、払込みを証する書面、就任承諾書、登記すべき事項などを並べて確認すると、表記の不一致を見つけやすくなります。
12. オンライン申請が向いているケース
オンライン申請が向いている場合
- パソコンの設定や電子署名に対応できる
- 必要書類を自分で確認できる
- 会社の設計が比較的シンプル
- 現物出資など複雑な手続きがない
- 法務局へ行かずに申請したい
専門家への相談を検討したい場合
- 役員や出資者が複数いる
- 現物出資を行う
- 種類株式など複雑な設計を行う
- 許認可と定款の調整が必要
- 設立日を確実に合わせたい
会社設立登記の申請代理を依頼する場合の主な専門家は司法書士です。自分で進めるのが難しい場合は、申請直前ではなく、定款を確定する前に相談しましょう。
13. オンライン申請前のチェックリスト
- 会社形態と基本事項を決めた
- 商号と事業目的を確認した
- 本店所在地で法人登記できることを確認した
- 必要な許認可を確認した
- 定款の内容を確認した
- 資本金の払込みを完了した
- 必要な添付書類を用意した
- 電子署名が必要な書類を確認した
- 電子証明書の有効期限を確認した
- 申請用総合ソフトの設定を完了した
- 管轄法務局を確認した
- 登録免許税の金額を確認した
- 申請後に処理状況を確認できる状態にした
14. オンライン会社設立に関するよくある質問
会社設立のすべての手続きをオンラインで完了できますか?
会社形態、役員構成、添付書類、電子署名の方法などによって異なります。必要な書類をすべて電子データとして提出できない場合は、一部を書面で提出することがあります。
マイナンバーカードがなくてもオンライン申請できますか?
申請内容に対応した電子証明書が必要です。代表取締役本人がマイナンバーカードを利用する方法が案内されていますが、利用できる電子証明書は申請内容によって異なります。電子証明書を準備できない場合は、書面申請を検討します。
スマートフォンだけで会社設立登記を申請できますか?
一般的な商業・法人登記のオンライン申請では、申請用総合ソフトを使用するパソコン環境が必要です。利用するサービスごとの対応環境を確認してください。
電子定款を作成すれば定款認証は不要ですか?
株式会社では、電子定款であっても原則として公証人による定款認証が必要です。合同会社では定款認証は必要ありません。
オンライン申請なら登記はすぐに完了しますか?
オンライン申請であっても、法務局による審査があります。書類の不足や入力内容の誤りがある場合は補正が必要になり、完了まで時間がかかる可能性があります。
休日に申請データを送信できますか?
システムの利用可能時間内であれば送信できる場合があります。ただし、休日や法務局の受付時間終了後に送信した申請は、翌業務日に受け付けられるため、会社設立日に注意が必要です。
オンライン申請でも会社実印は必要ですか?
会社の印鑑提出は任意ですが、金融機関や取引先との手続きなどで会社実印や印鑑証明書を求められる場合があります。設立後の利用予定も考えて準備を判断してください。
自分でオンライン申請するのが難しい場合は誰に相談しますか?
会社設立登記の申請代理については司法書士へ相談できます。税務や許認可なども相談したい場合は、相談内容に対応できる専門家を確認してください。
