会社の支払いと経費管理を効率化する

法人カードの作り方|選び方・必要書類・経費管理を解説

法人カードを利用すると、会社の経費をまとめて支払い、利用明細を会計ソフトへ取り込めるようになります。このページでは、法人カードと個人カードの違い、カード選びのポイント、申込みに必要な書類、経費処理や不正利用を防ぐための運用方法を解説します。

法人カードを利用目的、カード選び、申込み、追加カード、経理と証憑、安全管理の6項目に整理した図

法人カードの要点

利用目的
会社の経費を個人の支払いと分け、経理処理をしやすくします。
カード選び
年会費、利用限度額、追加カード、会計ソフト連携などを比較します。
必要書類
カードの種類に応じて、代表者の本人確認書類や法人の確認書類を準備します。
証拠書類
カード利用明細だけでなく、領収書や請求書なども保存します。
利用ルール
使用できる経費、利用者、限度額、領収書の提出方法を決めます。

1. 法人カードとは

法人用カードと個人用カードを分け、支払集約、立替削減、支払予定、管理責任を確認する図

法人カードとは、会社や個人事業主の事業経費を支払うためのクレジットカードです。法人向けクレジットカード、ビジネスカード、コーポレートカードなどの名称で提供されています。

各名称の定義はカード会社によって異なります。名称だけで判断せず、契約者、支払口座、追加カード、利用限度額などの条件を確認してください。

法人カード

  • 会社の事業経費の支払いに使用する
  • 法人口座から引き落とせる商品がある
  • 従業員用の追加カードを発行できる場合がある
  • 法人向けの経費管理機能が用意される場合がある

個人カード

  • 個人の生活費などの支払いを想定している
  • 原則として個人口座から引き落とされる
  • 事業利用が規約で制限される場合がある
  • 会社と個人の支出が混在しやすい

法人カードであっても、カードの券面に会社名と使用者名の両方が記載される場合があります。表示方法や契約形態はカード会社によって異なります。

2. 法人カードを作るメリット

  • 会社と個人の支払いを分けられる
  • 経費の支払日をまとめられる
  • 振込や現金払いの回数を減らせる
  • 利用明細から支出を確認できる
  • 会計ソフトへ明細を取り込める
  • 従業員の立替払いを減らせる
  • 追加カードごとに利用者を管理できる
  • 支払いまでの期間を資金繰りに活用できる

経費精算の負担を減らせる

従業員が個人のお金で会社の経費を立て替えると、領収書の提出、内容の確認、精算、振込みなどの作業が発生します。

従業員用の追加カードを適切に利用すれば、立替精算を減らし、会社が支払いをまとめて管理できます。

支出を早く把握できる

カードの利用通知やWeb明細を確認することで、どのカードで、いつ、いくら使用したかを把握しやすくなります。ただし、明細だけでは購入内容が分からない場合があるため、領収書や請求書との照合が必要です。

3. 法人カードの注意点

  • 年会費や追加カード発行手数料がかかる場合がある
  • 利用から引落しまで時間があり、支払予定を見落としやすい
  • 利用限度額を超えると必要な決済ができない
  • 追加カードの管理が不十分だと私的利用が発生する可能性がある
  • 利用明細だけでは購入内容を確認できない場合がある
  • 解約したカードの明細を確認できなくなる場合がある
  • 分割払いやリボ払いには手数料が発生する場合がある

法人カードは会社の資金を増やすものではありません。引落日までに必要な金額を法人口座へ準備し、利用額と預金残高を定期的に確認しましょう。

4. 法人カードの種類

クレジット、デビット、プリペイドの違いと法人カードを選ぶ比較項目

法人向けカードは、利用人数や会社規模、契約形態などによって提供されるサービスが異なります。

主な区分 特徴 向いているケース
中小企業・個人事業主向け 代表者が申し込み、少人数で利用することを想定したカードです。 設立直後の会社や小規模な会社
大企業向け 多数の従業員による利用や、部署ごとの管理に対応するカードです。 従業員数やカード利用者が多い会社
デビットカード 原則として、利用時に銀行口座から即時に引き落とされます。 後払いを避け、口座残高の範囲で利用したい会社
プリペイドカード 事前に入金した金額の範囲で利用します。 利用額を一定範囲に制限したい会社

「ビジネスカード」「コーポレートカード」などの呼び方や対象企業は、カード会社ごとに異なります。申込対象と契約条件を公式サイトで確認してください。

5. 法人カードを選ぶポイント

比較項目 確認する内容
年会費 基本カードと追加カードの費用を確認します。
利用限度額 毎月の仕入れ、広告費、出張費などを支払える金額か確認します。
支払口座 法人口座を設定できるか確認します。
追加カード 発行可能枚数、年会費、カード別の限度額設定を確認します。
利用明細 明細の確認方法、保存期間、データ出力の可否を確認します。
会計ソフト連携 利用している会計ソフトへ明細を取り込めるか確認します。
利用通知 決済時のメールやアプリ通知を設定できるか確認します。
付帯サービス ETCカード、旅行保険、空港サービスなどを確認します。
海外利用 海外決済や外貨決済の手数料、利用制限を確認します。
サポート 紛失、不正利用、利用停止時の連絡方法を確認します。

ポイント還元だけで選ばない

ポイントや特典も比較項目のひとつですが、年会費、利用限度額、明細管理、追加カード、会計ソフトとの連携なども重要です。

会社の経費管理に必要な機能を先に整理してから、条件に合うカードを比較しましょう。

6. 法人カードの申込みに必要な書類

法人カード申込みで確認する本人確認、法人確認、会社情報、事業内容、引落口座、追加資料

必要書類は、カード会社、カードの種類、法人の状況などによって異なります。一般的には、次のような情報や書類を準備します。

確認 書類・情報 主な内容
□ 代表者の本人確認書類 運転免許証など、代表者の本人確認に使用する書類
□ 法人の確認書類 履歴事項全部証明書など、法人の存在を確認する書類
□ 会社情報 商号、本店所在地、法人番号、設立年月日、資本金など
□ 事業内容 会社が行っている主な事業や取扱商品など
□ 連絡先 会社や代表者の電話番号、メールアドレスなど
□ 法人口座 カード利用額の引落しに使用する銀行口座
□ 決算書類 カードの種類や審査によって提出を求められる場合があります。

設立直後で決算書がない会社でも申し込める法人カードがあります。ただし、申込みができることと、カードが発行されることは同じではありません。

7. 法人カードを作る流れ

法人カードの用途決定から比較、書類確認、申込み、審査と受取、設定と共有までの6ステップ
  • STEP 1

    カードの用途を決める

    何の支払いに使用するか、誰が使用するかを決めます。

  • STEP 2

    カードを比較する

    年会費、限度額、追加カード、明細管理などを比較します。

  • STEP 3

    必要書類を確認する

    申込先の公式サイトで最新の必要書類を確認します。

  • STEP 4

    申込みを行う

    会社情報、代表者情報、引落口座などを正確に入力します。

  • STEP 5

    確認・審査へ対応する

    追加書類や確認事項を求められた場合は、指定された方法で対応します。

  • STEP 6

    受取り後に初期設定を行う

    利用通知、明細確認、利用限度額、会計ソフト連携などを設定します。

  • STEP 7

    社内ルールを共有する

    利用できる経費や領収書の提出方法を、利用者へ周知します。

  • 8. 申込み前に確認すること

    審査基準の詳細はカード会社によって異なり、すべてが公表されているわけではありません。申込み前に、入力内容や提出書類に不一致がないか確認します。

    確認 項目 確認内容
    □ 会社情報 商号、本店所在地、代表者名が登記情報と一致しているか
    □ 連絡先 電話番号やメールアドレスに誤りがないか
    □ 本人確認書類 有効期限が切れておらず、記載内容が鮮明か
    □ 法人確認書類 申込先が指定する発行期限内の書類か
    □ 引落口座 指定できる金融機関や口座名義の条件を満たしているか
    □ 事業内容 第三者にも分かるように具体的に説明できるか

    カード発行を目的として、会社情報、売上、事業実績などを事実と異なる内容で申し込んではいけません。

    9. 従業員用の追加カードを管理する

    追加カードの利用者、利用範囲、利用上限、証憑提出、利用記録、回収と停止を管理する図

    従業員へ追加カードを渡す場合は、カードを配布するだけでなく、利用者と利用目的を会社で管理します。

    追加カードごとに記録する項目

    • カードの利用者
    • カード番号の下4桁などの管理番号
    • カードを渡した日
    • 利用できる経費
    • 1回・1か月の利用上限
    • 領収書の提出期限
    • 返却日・利用停止日

    退職・異動時の対応

    カード利用者が退職した場合や、カードを使用しない部署へ異動した場合は、速やかにカードを回収し、必要に応じて利用停止や解約を行います。

    10. 法人カードの社内利用ルール

    小規模な会社でも、カードを使用してよい支出と手続き方法を決めておきます。

    ルール 決める内容
    利用できる人 代表者、役員、従業員など、カードを使用できる人を決めます。
    利用できる経費 仕入れ、交通費、広告費、消耗品費などの範囲を決めます。
    禁止する支払い 個人的な買い物、現金化を目的とした利用などを禁止します。
    事前承認 一定金額以上の支払いで承認を必要とするか決めます。
    領収書の提出 提出方法、提出期限、利用目的の記載方法を決めます。
    紛失時の連絡 カード会社と社内担当者への連絡手順を決めます。

    11. 法人カードの経理処理

    法人カードの利用日と引落日、利用明細と領収書、返金取消、口座照合を整理した図

    クレジットカードは、一般的に利用日と銀行口座からの引落日が異なります。経理では、購入した日と支払った日を区別して記録します。

    カード利用時

    商品やサービスを購入した取引を記録し、後日支払う金額を未払金などとして管理します。

    口座引落時

    法人口座からカード利用額が引き落とされたことを記録し、未払いとなっていた金額を減らします。

    利用明細と帳簿を照合する

    毎月、カードの利用明細、領収書、請求書、会計帳簿、銀行口座の引落額を照合します。

    • 利用者が分かるか
    • 利用日と利用先が一致しているか
    • 購入した内容を説明できるか
    • 会社の事業に必要な支出か
    • 領収書や請求書がそろっているか
    • 同じ経費を重複して登録していないか
    • 返金やキャンセルを反映しているか
    • 口座からの引落額と一致しているか

    日常の経理については、 会社設立後の経理でやることも確認してください。

    12. カード利用明細だけでなく領収書・請求書も保存する

    カード会社が発行する利用明細だけでは、購入した商品やサービスの詳しい内容や、消費税の適格請求書に必要な事項を確認できない場合があります。

    カード利用明細に加えて、商品やサービスを提供した店舗・事業者から受け取った領収書、レシート、請求書などを保存します。

    消費税の仕入税額控除では、原則として一定事項を記載した帳簿と適格請求書などの保存が必要です。カード利用明細だけで判断しないようにしましょう。

    証拠書類を対応させる

    利用日、利用先、金額、カード番号の下4桁などを使い、利用明細と領収書・請求書を対応させます。

    複数の従業員がカードを使用する場合は、誰が何の目的で利用したのかも記録します。

    13. Web明細や電子領収書を保存する

    法人カードのWeb明細と電子領収書の保存、解約前確認、利用通知、カード管理、異常時対応

    カード会社のWebサイトから受け取る利用明細データや、オンライン購入で受け取った電子領収書などは、電子取引データに該当する場合があります。

    • カードの利用明細データ
    • オンラインショップの電子領収書
    • メールで受け取ったPDFの請求書
    • クラウドサービスの利用明細
    • アプリ決済の取引明細

    解約前に必要な明細を保存する

    カードを解約すると、過去のWeb明細を確認できなくなる場合があります。解約やサービス変更の前に、保存が必要な明細をダウンロードしてください。

    Web明細を紙へ印刷しただけでは、電子取引データの保存要件を満たさない場合があります。国税庁の最新情報を確認し、会社の保存方法を決めてください。

    14. 法人カードの不正利用を防ぐ方法

    • カードを複数人で共有しない
    • 暗証番号をカードと一緒に保管しない
    • カード番号をメールやチャットへそのまま記載しない
    • 利用通知を有効にする
    • 利用明細を毎月確認する
    • 不要なカードは利用停止または解約する
    • 退職者のカードを速やかに回収する
    • 海外利用など不要な機能を制限する

    身に覚えのない利用を見つけた場合

    カードを利用停止し、カード会社へ速やかに連絡します。利用者、利用日時、利用先、金額なども社内で確認してください。

    紛失した場合

    カード会社へ利用停止を依頼し、社内の経理担当者や責任者へ報告します。必要に応じて、継続課金サービスの支払カードも変更します。

    15. 法人カードに関するよくある質問

    会社を設立した直後でも法人カードを申し込めますか?

    設立直後の法人を申込対象とするカードもあります。必要書類や審査内容はカード会社や商品によって異なり、発行を保証するものではありません。

    法人口座を開設する前でも申し込めますか?

    個人口座を引落口座として申し込める商品もありますが、条件はカードによって異なります。法人口座の指定が必要か、申込み前に確認してください。

    法人カードの年会費は経費になりますか?

    会社の事業に使用する法人カードの年会費は、一般的に事業上の費用として処理します。具体的な勘定科目や税務上の取扱いは税理士へ確認してください。

    法人カードで個人的な買い物をしてもよいですか?

    法人カードは会社の事業経費に使用します。個人的な支出には使用せず、誤って使用した場合の精算方法を社内ルールで定めてください。

    カード利用明細があれば領収書は不要ですか?

    利用明細だけでは、購入内容やインボイスの記載事項を確認できない場合があります。店舗や取引先から受け取った領収書、レシート、請求書なども保存してください。

    利用限度額は変更できますか?

    変更を申し込めるカードもありますが、希望どおりに変更されるとは限りません。一時増額の可否を含め、カード会社へ確認してください。

    複数の法人カードを持てますか?

    複数の法人カードを利用することは可能です。ただし、カードごとの用途、利用者、引落日、限度額を管理し、経理処理が複雑になりすぎないようにしましょう。

    法人カードで税金を納付できますか?

    対応する税金はクレジットカードで納付できますが、決済手数料が発生し、領収証書は発行されません。対象税目や手続き方法を、国税庁や自治体の公式情報で確認してください。

    参考情報

    法人カードの申込条件、必要書類、年会費、利用限度額、付帯サービスなどは、カード会社や商品によって異なります。申込み前に、カード会社の公式サイトで最新情報を確認してください。